気づけばオレは、『最終幻想戦記』というレトロシミュレーションＲＰＧのキャラに転生していた。 　それも、そこらのモブキャラとかじゃない。 　序盤で殺される嫌われ貴族キャラ「ルガス」として転生していたのだ。 　原作では、革命団の女騎士を処刑したその場で、主人公たちに「家畜に神はない」と言い放ち、その後断罪される小悪党。 　だが、処刑する直前で前世の記憶が蘇ったオレは、思わず口にしていた。 「――その通りだ。 　君たちは家畜なんかじゃない」 　驚く女騎士、困惑する主人公たち。 　オレは知っている。このままでは、いずれ主人公たちと敵対し死ぬ未来が待っていることを。 　生き残るために、俺はこの革命を止める。 　女騎士を仲間に引き入れ、主人公も出し抜いて、運命を書き換える。 　これは、嫌われた貴族が知略と記憶で未来をねじ曲げ、英雄たちすら動かしてゆく、もうひとつの“戦争記”だ。

使用人の少年は、ここが前世で読んだ小説の中であり、自分は命を落とす脇役であると気が付いた。 死の運命に抗った結果、代わりと言わんばかりに自身を虐げてきた黒幕『ルシオ』が命を散らせた。 未来には数々の悲劇が待ち受けている。被害者を救い、未来を書き換えるため、少年は瓜二つの黒幕『ルシオ』として生きることを決意した。 一見冷たく見える、しかし誰よりも優しいルシオに惹かれ、集まる仲間たち。 「気に入らない」と理由をつけ、誰かを救うため、今日もルシオは頭脳戦を繰り広げる。