大切な物を守りたいけれど悪役を買って出るには自らに可能なことの少なさに嘆く宰相のヨシヤ、誰もが羨むほどの圧倒的な「美しさ」とそれが故の場を収める力を持ちながら平凡な自分の中身に苛立つ女帝のケイト、目立たず大人しくを目指しているつもりなのに破壊と再生が紙一重であることを体現しては落ち込む戦闘狂のサユリ、一方的に押し付けられる誰かの気持ちに疲れながらもどこかで愛情を求める矛盾を抱え彷徨っている王子様のアキフミ。誰もが自分に足りない物をどうにかしたくて足掻いているだけなのに、周りから御使様（みつかいさま）と囁かれてしまう４人が挑むのは、魔王討伐でもなく、ドラゴン退治でもなく、全てを無に返す宝珠の探索でもなく、明日より遠くなるにつれ絶望の色を濃くしていく、逃げたくても逃げられない現実世界のこの日本でのありふれた日々。 「越えて当たり前」の偽装を大人たちに施された大学受験。何１つ当たり前じゃ無い矛盾ばかりのシステムの前で、少しだけ普通じゃない４人が受験の神様なんていないのに「御使様」と呼ばれながら足掻いた時。誰かにとっての普通の現実世界が、これまでに見たことのない景色に塗り替えられていく。 　これから文字を伝って彼らと共にするあなたのすべての時間が、彼らと共に感じたあなたのすべての思いが、明日のあなたを照らすみちしるべにどうかなりますように。 高３Ｈ英語の世界へ、ようこそ。 ※R15指定は念のため。