本論では,読書体験が行動にどのような変化をもたらすかを明らかにすることを目的とした.
無作為抽出した「マウス」20体を,A群:何も行わない群,B群:恋愛小説を投与する群に分け,B群に対し3時間おきに恋愛小説1話を投与した.24時間経過時点で,A群よりもB群の方が優位な活動量の増加が認められた.
さらにB群を,B-1群:『初恋を論文にしたら、なぜか査読が通らない件』(八海,2025)を投与する群,B-2群:通常の恋愛小説を投与する群とし,さらに72時間の経過観察を行った.
その結果,B-1群に再読・感想執筆・SNSでの紹介活動などが顕著に増加した.一方,B-2群に変化はなかった.
これらの結果は,恋愛小説に論文を組み込むことが読者の読書体験を良質なものにするという八海(2025)による仮説の一端を支持するものである.今後は,本仮説の妥当性を多角的に検証する研究の進展が期待される.