ブラック企業SE・田中健太(28)は、連日の残業の果てに、お約束通りトラックに轢かれた。
彼を召喚したのは、異世界を管理する創造神アスタルト。超高性能だが、ラノベを「真実の記録」と信じ込む、絶望的なポンコツ(処理落ち)だった。
「トラックに轢かれるとか勇者じゃん! 早く世界救ってこい!」
そんなアホ理論で蹴り飛ばされた健太に、戦闘能力は皆無。与えられたチートは、死ぬと女神が時間を巻き戻す【強制リザレクション】。要は、敵の攻撃を受けるだけの「無限肉壁」兼「人間偵察機」だった。サバイバル能力ゼロの健太は、生水で食中毒になり、ゴブリンの炭を食わされ、即死に戻りの地獄のデッドループに陥る。しかも、女神はリソース不足で、完璧な美女からポリゴンバグ、果ては「棒人間」へと劣化していく始末。
一方、この騒動(バグ)を収めたい悪魔(中間管理職)は、対抗馬として「魔王」を召喚する。選ばれたのは、大学中退ネトゲ女子・姫川麗奈。彼女はこの世界を新作フルダイブMMOのβテストだと勘違いしていた。
「うおおお! 銀河の彼方から集積された無数の星団が、今、一つに収束し、敵を粉砕する! 『ギャラクティック・ノヴァ・エクスプロード』!!」
彼女がネトゲのノリで叫ぶ中二病の技名を、女神が「カッコイイ!」とガチ解釈(サーバーに過負荷)! (バックで銀河が爆発するエフェクトと共に)絶大な威力の魔法が発動し、世界はフリーズ寸前に。
悪魔は健太を捨て置けず、「お菓子の恨みで国を売った」という規格外の脳筋元王女フィーリアを護衛として送り込む。健太は、常識の通じない仲間たちと、強敵である教会最強の四天王に立ち向かう羽目に。
「やめろ麗奈! その魔法(リクエスト)はサーバー(女神)に負荷がかかりすぎる!」
「ていうかアスタルト! お前が『カッコイイ!』って解釈するからリソースが枯渇して世界がフリーズしかけてんだよ!」
社畜SE(ツッコミ兼肉壁)は、ポンコツ女神(サーバー)と勘違い魔王(チートユーザー)という二つの超弩級バグを抱え、フリーズ寸前の世界を救う(デバッグする)ことができるのか!?
理不尽だらけの勘違い聖闘士(パロディ)コメディ、ここに開幕!