──それは、決して掲示板には載らない仕事。 冒険者ギルド。 それは、“冒険者”と呼ばれる職業の者達を登録し、管理する組織である。 冒険者への依頼の斡旋、国家間の往来の許可取り、洞窟や遺跡探索の申請代行など、その業務は多岐に渡る。 だが、冒険者ギルドには、極々一部の限られた者しか知らない“裏の顔”も存在する。 “掃除人”。 何らかの理由により公に裁くことが困難な、若しくは公に出てしまえば大変に都合が悪い冒険者その他を“処理”する者の総称である。 冒険者狩りを行う冒険者。 自身の勝手な信念により、人間すらも標的にする神官戦士。 己の失敗を隠蔽するために、村を焼き払う魔術師。 禁制の薬の媒介役となった盗賊。 権限を利用し、重大な汚職に手を染めたギルド職員。 それらを秘密裏に“処理”する仕事。 そこには正義も義憤もない。あるのはただ、“乾いた職業意識”のみ。 これは、とある冒険者ギルドの、ある掃除人の物語。 ※この作品には暴力的描写・倫理的に問題のある行為・性的なニュアンスを含む描写があります。 一部の読者にとって不快に感じられる可能性がありますので、ご注意ください。

1892年、ロンドン。切り裂きジャックの恐怖が人々の記憶から薄れかけた頃、シャーロック・ホームズはライヘンバッハの滝壺に消えた。街は弟という名の光を失い、マイクロフト・ホームズの目には、煤けた煉瓦と淀んだテムズ川の灰色だけが映っていた。 彼はディオゲネス・クラブの革張りの椅子に巨体を沈め、英国政府という巨大な機械の歯車として、ただ静かに世界を回している。運動は好まない。事件は好まない。人間は、もっと好まない。それが彼の信条のはずだった。 だがある夜、クラブの沈黙を破り、スコットランドヤードのレストレード警部が駆け込んでくる。ホワイトチャペルで、かつてのジャックを彷彿とさせる惨殺事件が発生したのだ。政府上層部は国家の威信にかけてスキャンダルの再燃を恐れ、この厄介事をマイクロフトに押し付ける。 「真相の究明、および“適切な”処理を」 それは隠蔽の命令に他ならなかった。マイクロフトは思考の宮殿で糸をたぐる。必要なのは、公式の記録には残らない情報。貴族のサロンから貧民街の酒場まで、蛇のように潜り込めるしなやかな協力者。彼の灰色の瞳が、一人の女性の姿を捉える。アイリーン・ノートン――旧姓アドラー。弟が唯一敗北を認めた、あの女。 マイクロフトは彼女の所在を突き止め、取引を持ちかける。「これは捜査ではない。過去の清算だ」。社交界の華やかな舞台と、裏社会の危険な闇を自在に行き来するアイリーン。政府の最高機密にアクセスできる、動かぬ策謀家のマイクロフト。二人の間には、信頼も友情もない。あるのは、それぞれの目的のために結ばれた、冷徹で乾いた“機能的同盟”だけ。 やがて二人がたどり着いたのは、単なる模倣犯事件の真相ではなかった。それは、大英帝国の玉座を揺るがしかねない、切り裂きジャック事件そのものに隠された「不都合な真実」。 マイクロフトは選択を迫られる。国家の安定か、名もなき者たちのための正義か。弟ならばどうする？――いや、そんな感傷はとうに捨てた。これは、彼の事件だ。 霧の都の片隅で、巨大な頭脳と鋼の肉体を持つ男の、孤独な闘いが始まる。

ざっくりあらすじ 　勇者兼女王が国民を大量虐殺して自分も死んでしまう（序編）けど、転生者の女の子がその暴挙の謎を、彼女の幼少時代からさかのぼって（本編）解き明かしていく。 あらすじ 　孤児シュア・マドの前世は、両親の借金返済のため仕事に明け暮れ、不慮の死を遂げた３０代女性。 　異世界に転生した彼女だったが、前世の記憶が邪魔して魔力の使い方が自然に身につかない、落ちこぼれの子供だった。 「また日の当たらない人生か」 　だがその魔力感知されにくいステルス体質が王宮の目に止まった。 　やがて女王直属騎士として頭角を現していく。 　そんなとき女王ミモザは、勇者宣誓式で自身を含めた王国の有力者のことごとくを魔法で葬り去ってしまった。 　なぜ女王はそのような凶行に及んだのか。 　シュアの幼少から彼女の目を通し、その真相を辿っていく。

両親の遺産を持ち逃げして蒸発した中年ニート、「田中タカシ」は、一時の気の迷いで、とある派遣型風俗店のナンバーワン風俗嬢の「くるみ」を指名する。彼女と対面したタカシは、想像以上の美人で歓喜するが、くるみは風俗店と揉めており、店から逃れるために、タカシを脅して、蒸発に無理やり同行する。結果、風俗店の半グレ集団に追われる羽目となる。その後、次々と不運が重なっていき、殺し屋に殺されそうになったり、強制的に吸血鬼にされたり、吸血鬼ハンターとの戦闘に巻き込まれたりと、踏んだり蹴ったりの日々が続いていく。しかし、それら不運は序章に過ぎず、最終的には、異世界を巻き込んで、全宇宙を救う戦いへと発展していく。 全35話、25万文字程度で完結します。毎週水曜日と金曜日に投稿していく予定です。

人間と妖怪──相容れぬふたつの存在が、東京・渋谷で交わるとき、千年にわたる戦いが再び動き出す。 追放された“かまいたち”の王女・栄生（さこお）。その姿は白い制服を着た“ただの女子高生”にしか見えなかった。 彼女を追うのは、人ならざる“妖”を狩る者たち──目黒区特殊害獣駆除係、通称“鎌狩り”。 ある夜、誰にも見えないはずの“風”の中で、少年は、見えるはずのない少女を見つけてしまった──

「ごめんなさい」「ありがとう」……それが最後に聞こえた声。 そうしてクロガネは、記憶を失くした状態で目を覚ました。 知らない、世界。 知らない、景色。 そしてクロガネの知らない、けれど、クロガネを知っている女性、ヤタガラスとの邂逅。 ヤタガラスから語られる願い。 そして、“過去の自分”からの手紙。 クロガネの“二度目”の人生は──静かに動きだす。 □□ 書き溜め70話あります 約24万文字分更新保証 更新予定 2週3話更新(1週目 月・金　2週目 水)　 ※伸び悩んでるので週一更新検討 序幕の全書き直し検討中

処刑された聖女は再び目覚める—— 魔王を倒せず「裏切り者」として火刑に処された聖女フィーネ。 命を救ったのは、敵であるはずの魔王だった。 魔王はフィーネを『最後の武器』として使うという。 力も信仰も失って、それでも彼女はもう一度立ち上がる。 聖女ではなくただの“フィーネ”として世界を見つめ直すために。 フィーネが選びとった未来は——復讐か、破壊か、それともか愛か。

《愛のない結婚のはじまりは私の生き方・愛し方を探す旅のはじまりでした》 ウィンスレイド王国の王立学院高等科に在学中だったルナリアは、ある日突然、王宮護衛隊によって王宮へ連行された。 故郷と両親を一度になくし、わけもわからぬまま王宮で軟禁生活を強いられていたが、ひと月が過ぎる頃、仮面舞踏会が開かれることを知ったルナリアはこの絶好のチャンスに王宮脱出を試みる。 なんとしてでも王宮を出て、王都で頼れる唯一の人、婚約者のトレヴァーに助けを請うつもりだった。 仮面をつけて王宮内を歩き回るうちに、ルナリアは黒い仮面の美しい青年と出会い、彼の助言を得て王宮から出ていこうとするが、そのとき、彼女の前に妖獣と呼ばれる異形が立ちはだかる――。 それから3ヶ月後。 ルナリアは王太子妃となり、夫である王太子ジェレルと愛のない結婚生活を送っていた。 周囲からは世継ぎはまだかとせかされたり、夫婦仲がよくないことをうわさされたり、ルナリアはげんなりしながら何事にも感情を動かさないことでやり過ごしている。 が、王太子ジェレルがルナリアの故郷へ旅立つことになり、ふたりの関係に変化がーー！？ ウィンスレイド王国に伝わる【月の女神と邪神】の神話の再来が近いとされる中、【呪われた魔剣】を手にした王太子ジェレルと、月の女神の力を封じ込めた【紅の秘宝】を両の瞳に宿すルナリア、そして【国内最強の剣士】でルナリアの元婚約者トレヴァーが、それぞれの生き方・愛し方を模索しながら運命に立ち向かう物語。 ※ルナリアの苛酷な過去、及び【月の女神と邪神】の神話に関する記載・戦闘シーン等に残酷な描写が含まれます。 ※2025/06/08 作品タイトルを変更。短縮しました。 ※【同時掲載】小説家になろう、カクヨム、アルファポリス

再婚相手は25歳年上の領主。妾が三人もいる城に、愛などない。 三人の娘を抱え、戦で夫と故郷を失った女。 帰還した生家で待ち受けていたのは、義母の惨い最期と、兄の冷酷な命令だった。 だが娘を守るため、生家を守るため――彼女はやがて政略の道を選ばされる。 嫁ぎ相手は二十五歳年上の領主。 妾が三人もいる城に、愛などない。 妾たちの葛藤、後継争い、娘たちの恋、そして忘れかけた優しさ。 命尽きるその日まで、母として、女として戦い続ける。 これは“愛を捨てた女”が“希望を繋ぐ母”になる物語。 （※本作は完結済『秘密を抱えた政略結婚』の続編ですが、今作からでも楽しめます）

「守ります。あいつの悲しそうな顔、もう見たくないんです」 二〇三〇年に現れた、感情と力を持つ異形。彼ら異形は『死人（しびと）』と呼ばれ、捨てられた哀しみから命を宿し、深夜に生まれてくる。 強靭な力で襲い来る死人から人々を守るのは『マダー』と呼ばれる主に十代の少年少女たち。 戦法は連想ゲーム。 立方体『キューブ』によって割り当てられた『文字』から連想し、想像したものすべてが現実に生み出せる。 死人の気持ちに寄り添い、哀しみを知ろうとする少女、相沢未来（あいざわ みく）。 幼なじみである土屋隆一郎（つちや りゅういちろう）は彼女の優しさと強さを尊敬し、同じ姿勢でマダーとして戦っている。 しかし彼女は倒すべき敵と同じ『碧眼』を持っていて……。 ✤X（旧Twitter）でいただいたFAを眺めてデレデレしながら生きています。たくさんの幸せなイラスト、本当にありがとうございます！ ✤このお話は2024/05/26時点で200話以上あった『碧眼の彼女』を加筆修正して投稿しています。旧『碧眼の彼女』は2024/06/12に作者側のトラブルにより削除されており、現在はバックアップから拾い上げながら執筆しています。一日でも早く最新話まで漕ぎ着けられるように頑張りますので、何卒よろしくお願いいたします。 最後になりましたが、拙作に興味を持っていただきまことにありがとうございます。 どうぞ、碧眼の彼女、通称『碧カノ』の世界をお楽しみくださいませ。

七歳となり迎えた“祝福の儀”にて激しい頭痛に襲われ意識を失ったエディ。目が覚めたエディは自身が転生者であること、そして授かったスキルが【糸】であることを知るのだった。前代未聞なスキルのため冒険者ギルドに登録を断られたエディは、商人の道を目指し旅に出ることに。あらゆる物質を解析・精製しスキルを磨きながら進む旅の最中、一匹のエンシェントウルフとの出会いがエディの出自の謎を紐解いていき……。　前世の知識を活用して『糸』の解釈を広げることでスキルの可能性も無限大!?　スキル【糸】を授かった少年が紡ぐ成長冒険譚、開幕！ コメディ多めで気軽に読める物語です。 ※印付きはイラスト付きの話になります。 カクヨムコン８特別賞受賞作品。書籍化2024/8/30発売！ ※カクヨムがメインのため一番先行しています。 金曜更新

魔王が復活すると勇者は生まれる。生まれた時から勇者と定められ魔王を討伐するために旅をする。そして、数年が経過し勇者は魔王を討伐した。 これからは勇者ではなく普通の人として幸せに暮らす。はずだった。 旅を終え故郷に帰ると村は変わり果てていた。建物は壊れ、人は死に、植物は枯れていた。 そして勇者は後ろにいた刺客に斬られ息絶えた。 しかし目を覚まし起き上がるとそこは、昔の故郷で……？ 裏切られた勇者がもう二度と奪われない為に復讐を誓う。そんなお話。 ※書き直しを行ってます。しばらく同じ話が続きます。申し訳ありません

　この世界では 　誰もが女神様から【スキル】を与えられる 　 　アーロン家の次期領主として 　有用なスキルを手にすることを望まれた 　少年、アノス 　実際に手にしたのは【デバッグ】という 　効果の分からないスキルであった 「外れスキル持ちなど、アーロン家の恥さらしめ！　　すぐに出ていけ！」 「その通りだ…兄さんの代わりに俺がこの家を継ぐ」 　アノスは 　実家を追放されることになった 　しかし本人の気づかない内に 　初めての実戦をきっかけに 　外れスキルの真の使い道が明らかになる 　弱点看破、矛盾点の観測、最適化 　真の使い道は 　最適な力で最大限の効果を打ち出す 【最地味スキル】だったのだ 　これはひとりの少年が狭い世界から 　周りの助けを受け、国を揺るがす 　軍神となり、世界の果てを目指す物語

夏休みのある日、男子高校生である星宮 雪（ほしみや ゆき）は、姉の柊和（ひより）にVRMMO『ユニークテイル·オンライン』を一緒にやろうと誘われる。以前からやってみたかったVRMMOに心を惹かれ意気揚々とゲームを始めるも、柊和の悪戯によってロリ巨乳の美少女アバターへと変貌してしまうが、ランダムで種族を設定したことによって確率激低のレア種族を引き当てており、レア種族が勿体ないとアバターは気にせずゲームを始める。 とはいえ種族だけでプレイ方針を決めるのもな、と考えたスノウは戦闘に生産にと自由に手を出していたら次々と普通ではないことがスノウを中心として起こるように。 自由に過ごすなかで様々なトラブルに巻き込まれ、多くのプレイヤーとNPCに知られるまで知名度が上がることも。 リアルでは男の娘でゲームではロリ巨乳。そして実はプレイヤーよりNPCの知り合いの方が多い。 そんな主人公が自由にゲームを満喫する物語です。

　第一章　『眠り姫』 　初めてLROを始めた日、僕はゲームの世界に居続ける少女と出会った。彼女の願いと思いが、このLROというゲームを加速させていく。現実とゲームの境界を曖昧な物にしていった。 　第二章『世界に愛された娘』 　LRO事件が終わって数ヶ月。日々は至って平穏だ。だけどあの人が、自分達の会長が、とんでもない物を持ち込んできた。最初はそれに参加する資格も、思いもなかった自分だけど、同時期に塾で密かに気になってた娘が姿を消した。 　それには会長の持ってきた物と関係があって……自分は『誰かがやってくれる』その『誰か』になろうと思ったんだ。

不安の置き場がないと、人は噂に置く。置きやすい“的”があるなら、なおさら。 アリシアは「悪徳領主」と呼ばれた。軽い言葉はいつしか刃になり、広場に“断罪”の台を用意する――そんな一日の物語。

東方大陸の北西、嵐帯《ストームベルト》に閉ざされた孤島ワイムレスト――薬草の楽園にして、外界から隔絶された牢獄。 その山頂で、古代遺跡が青と紅の光に呑まれ、忽然と消えた。 混乱の只中、蒼空守護団《スカイ・オーダー》と共に降り立つのは、伝説の永遠の守護者《エターナル・ガーディアン》――オーロン・シルヴィオン。 彼が遺跡で引き取ったのは、銀空の瞳を宿す赤子と、脈動する漆黒の卵。 名も知らぬ女が遺した願いは、ただひとつ。 「どうか……彼には、ここで起きたことを伝えないで」 やがて少年と卵は、トワイライト・シャッターと永遠の深淵《エターナル・アビス》の真実へ踏み込み、 光と闇の狭間で編まれる起源の糸を追う。 その旅路は、ひとつの運命を越え、世界の均衡さえも揺るがしていく――。

大学生のジェイは、フィールドワークのため夏休みに四㽷村を訪れることにした。四㽷村は島国の山奥にある小さな村だが、ここでは村人、特に老人の肺に水が溜まる死亡事故が相次いでいると言う。死因は溺死だ。その原因を探るため、ジェイは親友のロベルトとクラスメイトのクリスと共に村に降り立つ。体が異様に浮腫んでいる村人、窒息しそうなほど重く水分を蓄えた空気、湧き上がる黒い水。真相を掴もうとする三人は、やがて村の祟りに巻き込まれていく。

大地が毒で汚染され魔獣だらけとなった国。 その元凶となった狂戦士の子孫である令嬢は、祖先の罪を償うため、名前すら与えられず戦闘奴隷のような扱いを受けながら、魔獣と戦い王都を護る日々を送っていた。 そんな令嬢はある日、国が定めた婚約者であるロスベール公爵から「魔獣を殺すしか能が無い化け物を嫁になど反吐が出る」という罵詈雑言と共に婚約破棄をされ、彼の弟である貧乏な地方領主のモクレンに嫁がされることに。 モクレンは無能な醜い白豚男であると聞いていたが⋯⋯ 「君の名前だけど。ツミキって、どうかな？」 蓋を開けてみると、モクレンは口調こそ砕けているものの、聡明で包容力がある陽気な美青年で、名も無き令嬢は彼から『ツミキ』と言う名を提案される。 モクレンから溺愛されるようになったツミキは、周囲の人々から大事にされたり、美味しいご飯を食べたりして、生きる楽しさを知っていく。 ⋯⋯その一方、ツミキを捨てたロスベールは、その傲慢さと力不足により王都を魔獣から護りきれず、ツミキの知らぬ間に破滅していくのだった。 戦うドアマットヒロイン✕陽キャなスパダリ騎士団長のファンタジー強めなシンデレラストーリーとなっております。 キャラデザも一話目にありますので、良かったらぜひご覧くださいませ〜！ 序盤はほっこり系な感じです！ もふもふは27話から出てきます！

1000人に1人が勇者となるファンタジー世界に転生した男――ヨミ。 ヨミは運良く勇者へと選ばれる。しかし、選ばれたのは器用貧乏それに最弱候補としても有名な全の勇者。その事実を知ったヨミは絶望するものの勇者になったことには変わりない。 勇者としてヨミは強くなることを決意する。それがたとえ最弱候補と呼ばれる勇者だったとしても。