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作者:中西 陽一郎/作品情報/Nコード:N9499IX
短編 |
広告代理店に勤める航(わたる)は、同じ会社のデザイナーの瑞希(みずき)と恋に落ち、一緒に暮らし始めて一年以上の日々が過ぎていた。瑞希の明るさや毎朝作ってくれる目玉焼きの絶妙な焼き加減に幸福を感じながら穏やかな日常を過ごしていた。そんな冬のある朝、一本の電話がかかってくる。親友であり、人気ロックバンド「シリウス」のボーカルでもある剣(KEN)が急死したという知らせだった。電話をかけてきたのは唯(ゆい)だった。高校時代、野球部の女子マネージャーだった唯は、今は「シリウス」のマネージャーを務めていた。そして唯は剣の婚約者でもあった。航は、高校時代唯に密かな恋心を抱いていた。片思いではあっても唯の笑顔を心の支えに努力を重ねて三年間かけてエースの座にたどり着いた。ただ、結局、最後の夏も甲子園出場の夢は叶わなかった。一方、剣は天性の才能で入学直後にエースになるが、一年生の夏に怪我で投手としての未来を断たれてしまう。しかし、剣は、ほどなく音楽の道に進み、そこでも人並み外れた才能を直ぐに開花させてみせた。18歳の夏、航は唯に募る思いを告白するが、唯の返事は「ほかに好きな人がいる」だった。クリスマスイブの夜、航は、剣と唯が付き合っていることを知り唯への恋は完璧な失恋に終わる。十年後、航は、瑞希との暮らしをかけがえのないものと感じてはいたが、剣の死をきっかけに沸き上がった唯への密かな思いに気持ちを引き裂かれそうになる。瑞希は航の様子に気づきながらも、普段通りに明るくふるまっていた。過去を清算して未来を生きられるようにするために、航は、唯がそこに一人でいるはずの剣の前夜式へ向かった。
ジャンル:現実世界〔恋愛〕キーワード: シリアス 男主人公 女主人公 和風 現代 恋愛 失恋 結婚 初恋 最終更新日:2024/04/22 08:05 読了時間:約80分(39,631文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:中西 陽一郎/作品情報/Nコード:N9488IX
短編 |
つつがなく進行していた誠士郎(せいしろう)と陽香(はるか)の披露宴会場で、誠士郎の悪友、小野寺栄太郎(えいたろう)のスピーチが始まる。(小野寺さん、調子に乗って余計なこと言わないかな・・・ちょっと心配)と陽香が誠士郎に目配せしてきた。誠士郎は、陽香だけが気づく程度に片方の眉毛の角度を微妙に変えながら小さく頷いて、(うーん、まあ、栄太郎もいい大人だし・・・、大丈夫じゃないかな)という希望的観測を陽香に投げ返した。陽香との恋の始まりには、前段があって、その前段というのは、誠士郎にとっては、それでもう、人生が終わってしまうかというほどの、こっぴどい失恋だった。全てを知っている栄太郎のスピーチの暴走を案じながら、誠士郎は耳を傾け続けた。栄太郎のスピーチはのっけから脚色されまくったいい加減な話しではあったが、さりげない優しさで包まれてもいた。それを聞いているうちに、陽香の以外な過去を知り、彼女への思いが紆余曲折し、そして、二人のすれ違う思いが奇跡的に重なるに至る想いもよらなかった奇跡の夜に至るまでの様々な記憶が誠士郎に蘇る。ただ、栄太郎がスピーチの最後に語ったとっておきの話しだけは、誠士郎も、すっかり失念していた、しかし、とても大事な男と男の約束だった。
ジャンル:現実世界〔恋愛〕キーワード: ほのぼの 男主人公 女主人公 和風 平成 現代 ハッピーエンド 古典恋愛 結婚式 結婚 スピーチ 最終更新日:2024/04/22 07:45 読了時間:約38分(18,678文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:中西 陽一郎/作品情報/Nコード:N9476IX
短編 |
陽翔(はると)は、子供の時から、父の前ではいつも緊張していた。呼ばれなければ自分から近づいて行くことはなかったし一緒に泣いたり笑ったりした記憶もない。父には冗談の一つも言ったことがなかった。一番古い記憶の始まりから存在するその絶対的な距離は、陽翔が大人になり、2年前、父が突然亡くなるまで縮まることはなかった。心の奥底に、普段は自分でも忘れてしまうほどの少しの寂しさを密かに抱えたままではあったが、その寂しさの裏返しである世界への希望に支えられて、陽翔は、概ね健全な、少なくとも、傍から見ればそう見えていたであろう28歳の青年になっていた。陽翔は、同じ会社に1年後輩として入社してきた美鈴(みすず)と恋をして結婚した。彼女との暮らしに幸せを感じてはいたが、自分の子供を持つということについては、父との関係の記憶が、陽翔にそれを躊躇させていた。自分に子供ができるということを明確に拒否する確固たる哲学が自分の中にあったのかというと、そういうわけでもなかったが、少なくとも、結婚する前の自分の人生の中で、自分の死んだ後の世界に、自分の遺伝子をこの世界に残したいと切実に望む気持ちを陽翔は感じたことはなかった。結婚してから、3回目の正月、1枚の年賀状にプリントされていた写真とそれに添えれられた一言がそんな陽翔の心を動かした。
ジャンル:現実世界〔恋愛〕キーワード: 結婚 親子 子育て 夫婦 父子関係 最終更新日:2024/04/22 07:35 読了時間:約36分(17,813文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
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