「いや、殺し屋の隠語とかではなく、おじさんは本当にただの掃除屋なんだって」 芝崎 一郎（45）はダンジョンの掃除屋として日々の生計を立てている。 ある日の仕事中、強力なモンスターに遭遇していた一人の探索者を芝崎は仕事の片手間に助ける。 そして、いつものように名乗らず立ち去り芝崎は日常に戻るのだが、実は助けたその人が配信中の有名配信者であり、裏では危機をあっさりと救う姿が鬼のようにバズっていた。 大手ギルド、中堅クラン、S級探索者……多くの人間が躍起になって芝崎を探すが、一向に彼を捕まえることができない。 一方で、ネットに疎く配信というものを知らない芝崎には、ネット上で伝説の殺し屋なのではと噂されており、自分が探されていることなんて露とも知らず……

ユーグィは世界全土を巻き込んだ大戦を終わらせ、幸福で平和な国を築き上げ王として君臨していた。だが、ユーグィは自身が欲していたのは平和ではなく戦争だということに気づき、王として間違った選択をする前に永き時の眠りにつくことを決断する。 そうして2万年の時を超えて目を覚ますと、そこには未知の世界が広がっていた。人々は自身で戦うことをやめ、別の世界からモンスターを召喚しそれを戦わせる、通称『召喚戦争』が世を支配する時代だった。 かくして目覚めたユーグィは、とある目的のため魔術養成学校へ入学するも―――

「やめて！もう聖剣（俺）を舐めないで！」 聖剣である俺は目覚めて以来、誰も抜けないでいた。 幾人もの自称勇者が訪れては俺を抜けずに去っていく中、ある日現れたのは一人のシスター。 清廉潔白、神秘的な雰囲気を纏うそいつは俺の前で跪き、祈りをささげるふりをして俺の匂いを嗅いでくる剣が性癖の変態女だった。 そして、あろうことか俺を抜いてしまう。 許可もなくほおずりするし、隙あらば舐めてこようとするし……この勇者最悪すぎる。そう思っていたんだが…… こいつ、加減を知らないほど強すぎだ。

　前世の記憶を思い出したアリン・クレディットは、ここがゲームの世界であり、自身が悪役令嬢と呼ばれるキャラクターであることに気づく。 　ゲームの大ファンとして、メインキャラたちの運命を変えることは避けたい。そう思って平穏に生きることを決めたアリンだが、ひょんなことから自称ギャンブルの神が宿った懐中時計を拾う。 『願いを何でも叶えてやる。ただし、俺と魂を賭けた勝負で勝てたらな』 「ぜえ～～ったい嫌ですの！」 　ギャンブルの神に取りつかれてしまったアリンは、望まぬ勝負に何度も挑まされ、そのうち関わりたくなかったはずのメインキャラたちを救うことになってしまう。 「ここですわ！　オールインですの！」 『え、マジで？』

あの森の奥深くには、とても大きな蛇がいるそうだ。その蛇は真っ白な体で、まるで神の使いのような見た目らしい。まあでも、どんなもの好きだってそんなとこまで行きゃしないさ。

勇者の孫エリック・イザナギは、生まれる世界を間違えてしまった。レベルという概念が存在するこの世界で、エリックだけはレベルを上げることができなかった。その事実はエリックが大きくなるにつれて重く、辛くのしかかっていく……