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作者:夜月 真/作品情報/Nコード:N2989ID
完結済 (全61エピソード) |
「なあ、アルビノって知ってる?」
「あー、身体が真っ白なんだっけ?」
「そうそう、最近この辺にアルビノがいるらしいぜ」
「何のアルビノ?」
「それが、わからないんだよ。噂で広まっただけだからそこまでは確認できてないんだ。……もし人間だったら、お前どうする?」
大学の広い講義室で、後ろの席に座る名前も知らない男子ふたりの会話が耳に着く。他人の話を盗み聞きするのは趣味じゃないが、授業を聞くよりかはまだ面白味があった。
バイトは辞めた。辞めさせてもらいます、と突然に僕が言うものだから、店長は酷く驚いていた。辞めた理由は酷く単純で、ただ他人の日用品や食料に音を鳴らしてお金を貰うだけの作業に窮屈さを感じていた。そしてもう一つ、このバイトをしていると目が渇き、痛むのだ。仕事中は忙しいと目薬を注すことができず、耐えるしかない。
週末には眼科に向かい、ドライアイ用の目薬を購入する。この費用だって、意外と嵩んでくる。しばらくの間は、親からの仕送りに頼るしかない。運の良いことに僕は大学デビューに失敗し、友達もいないから人付き合いなどによる出費はなかった。
暇つぶしに始めてみた読書も長くは続かなかった。昔はよく読んでいたのに、いつからか本も苦手になっていた。数日前に本屋で購入した数冊の小説や辞典、自己啓発本は今となってはどこに仕舞ったのかも忘れてしまった。
このまま何の楽しいことも起きず、それなりの成績で、何となく就活をして、卒業式にも出るか悩んだまま大学生活を終えるのだろう。終わりというのは、いつも唐突だとわかっているにも関わらず。
※魔法のiらんど、アルファポリス、エブリスタ、カクヨムにて重複投稿
ジャンル:現実世界〔恋愛〕キーワード: 悲恋 アルビノ ハッピーエンド バッドエンド 色 四季 カメラ 桜 伏線 盲目 最終更新日:2023/05/20 06:00 読了時間:約204分(101,923文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 20 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 2 人 評価ポイント: 20 pt |
作者:夜月 真/作品情報/Nコード:N8755HV
完結済 (全16エピソード) |
あの時、橋に身を投げ捨てて死んでいたら、きっと今もこんなことで泣くこともなかっただろうな。
明日のクリスマス前日に、私は思い出して貰えなかったら……。そんなことばかりを考え、今日も一人、部屋の中から沈んだような月を眺めていた。生きていて良かったと思う。そして同時に、あの時死んでしまっていればとも思う。どのみち私の人生は死んでいたも同然だった。明日で、もう彼と会うこともなければ、同じ道を歩くこともないのだろうな……。
3月下旬。
どうしても会いたい人がいた。何を失っても、どんな言葉をかけられようとも、私には会いたい人がいたのだ。だから私は高校一年生にして実家を離れ、無理を言って一人暮らしを始めさせてもらった。
幼稚園の卒園と共に、父の仕事の関係で突然の別れとなってしまった彼に、もう一度会いたい一心だった。そんな幼い頃の記憶だけで、一人多くのものを手放すのは馬鹿げていたかもしれない。こんな方法でしか彼と出会うことができないと思い込んでいたのだろう。
引っ越し作業も終わり、私はとある別のアパートへと向かった。彼が以前住んでいた家だ。自宅となったアパートから徒歩10分弱で記憶を頼りに目的のアパートの前へと到着したが、私の足は立ち止まったまま動けない。心臓が私の身体を強く叩くのがわかる。彼と会えたら、なんて声を掛けよう。ちゃんと笑えるだろうか。
不安を抱えるも、私は深呼吸をし、意を決して部屋横のインターホンを鳴らした。カメラのないインターホンなど、当時のままだった。
ドアノブが倒され、扉の向こうからは20代くらいの男性が現れた。鼓動が一瞬だけ止まったようだった。
「……すみません間違えました」
それもそうだった。何年も前のことだ。彼はもうどこかへ引っ越してしまったのだろう。
どうして考えなかったのだろう。この場所に戻ってきても彼がいる保証などないということを。いや、わかっていたが考えたくなかったのかもしれない。
アパートの家へ戻り、私はベッドの前で力が抜けてしまい、床に崩れ落ちるように座り込んだ。
溢れる涙を制御できない。何度拭っても、溢れかえる。私は片付け切れていない部屋の中、ベッドに顔を埋め、声を大きく吐き出した。
どうするのが正解だったのか、自分でもわからない。ただ思い出の中に囚われている自分が、憎く、悔しく、心が枯れてしまったようだった。
ジャンル:現実世界〔恋愛〕キーワード: 年の差 悲恋 青春 女主人公 現代 伏線 カフェ 高校 花言葉 最終更新日:2022/09/23 21:03 読了時間:約201分(100,257文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 12 pt ブックマーク: 1件 評価人数: 1 人 評価ポイント: 10 pt |
作者:夜月 真/作品情報/Nコード:N3992HT
完結済 (全15エピソード) |
いつからだろうか。僕が生きるふりをする、つまらない枯れた人間のようになってしまったのは。
何を見ても面白いと感じず、楽しいということも年月が経つにつれて減っていってしまった。
遠い昔の記憶はほとんどない。児童センターで記憶を無くした日から、僕は抜け殻のようになってしまったと母は言う。
小学校低学年の頃、父は僕の記憶を追うように亡くなった。脳出血だった。
時間が経ったとはいえ、幼い頃に多くのものを失った僕には、生きる方向を見失うほどの出来事だったのだ。
僕は花になりたい。そよ風に吹かれ、美しい姿を持って人気のない場所で枯れて消えたい。
月に憧れた日もあった。何もせずとも、世闇の中で光を放つだけで誰かに見てもらえる。
僕は一生こんな人生なのだろうか。いいや、きっとそうなのだろう。
消えてしまった幼少期の記憶は、幸いにも少しだけなら残っていた。だが、とても大切な何かが失われてしまった。とても大切だったと思う。
ただ僕の心の中には、そんな薄っぺらな感情だけが根強く残っていたのだ。
きっと来世でもこんな気持ちで僕は生まれ落ちるのだろうと、枯れた薔薇のように自分を悔やんだ。
※重複投稿
ジャンル:現実世界〔恋愛〕キーワード: 年の差 悲恋 日常 青春 コーヒー 人外 高校生 恋愛 現代 男主人公 ハッピーエンド 伏線 最終更新日:2022/08/07 14:01 読了時間:約201分(100,209文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 16 pt ブックマーク: 3件 評価人数: 1 人 評価ポイント: 10 pt |
作者:夜月 蒼真/作品情報/Nコード:N8750GX
連載中 (全8エピソード) |
天才高校生科学者【生駒 蓮】。彼のおかげで科学は一気に発展して行ったが、日本はその科学で世界と戦争をし、めちゃくちゃに。
そして、戦争で大事な人を亡くした蓮は自分諸共日本を爆発させる。
異世界に転生した蓮は【アスラルト王家】の第二王子【エネル】として新しい人生が!?
魔法と科学の異世界物語が、今始まる。
ジャンル:異世界〔恋愛〕キーワード: R15 残酷な描写あり 異世界転生 異能力バトル 男主人公 魔法 ハッピーエンド 超能力 最終更新日:2022/04/10 12:00 読了時間:約63分(31,259文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 10 pt ブックマーク: 5件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:夜月 蒼真/作品情報/Nコード:N5106GX
連載中 (全8エピソード) |
能力者家系に生まれた主人公【出水 龍馬(いずみ りょうま)】
過去に辛く暗い過去を持つ彼は異世界に行き、自分の能力を高めるために修行に出ていた。
そして、数年後…彼は現世に帰ることになるが、ある日、見知らぬ少女と魔術師らしいやつが現れて・・・
出水 龍馬と少女の異世界物語が今!始まる!
ジャンル:異世界〔恋愛〕キーワード: R15 残酷な描写あり 異世界転移 異能力バトル 異世界 男主人公 魔法 最終更新日:2022/03/19 20:00 読了時間:約65分(32,274文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 18 pt ブックマーク: 4件 評価人数: 1 人 評価ポイント: 10 pt |
作者:夜月 蒼真/作品情報/Nコード:N3617HE
連載中 (全2エピソード) |
高校生マジシャン【霧島 零(きりしま れい)】。
彼は日本のマジシャンで上位に入る男で、他にも道化師などをやっている。
中学生時代。まだ手品をはじめた頃に出会った女子【宮下 美穂(みやした みほ)】。
主人公・零(れい)は彼女を笑わせる手品をしていた。美穂(みほ)と打ち解けていき仲良くなった2人。
高校に入ってある日、美穂(みほ)が事故にあい主人公との記憶だけを失ってしまう。
零(れい)は、ショックになりながらも思い出すためにまた彼女にマジックをする。
果たして、2人の運命は・・・
ジャンル:現実世界〔恋愛〕キーワード: R15 スクールラブ 青春 男主人公 学園 現代 最終更新日:2021/10/02 21:00 読了時間:約15分(7,135文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
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