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作者:夢見文太/作品情報/Nコード:N5316HD
連載中 (全24エピソード) |
「さてと……、これで出来上がりましたね」
一人の痩せ型の男は言う。
その男の足元には巨大な魔法陣が描かれていた。
「魔法陣と私のこの力が融合する時……。新たな世界が幕を開けるのです」
その魔法陣を大事そうに触っていたその男は、そう言い放った後にゆっくりと立ち上がる。
「何を訳分からない事言ってやがる。どうせてめえの野望なんざすぐに打ち砕かれるのさ」
そう喋るガタイのいい男は、何か見えざるものにより体を縛られているようであった。
「ふふ……。あなたはそこで黙って見ていることだ――」
その男は、手振りをしながら魔法陣の上をゆっくりと歩きだした。
「この世界には私が創始した力がはびこるのだ。そして、人間は狂いおののき、それを悪用し始める。まさに私が成し得たいものですね」
そうして男は丁寧に手のひらで宙を仰ぐ。すると、魔法陣は神々しく光り始めたのだ。
「――この時を待っていたぜ」
――パキン!
ガタイ男を縛っていた見えざるものは途端に破壊された。
「おや。じっとしていないと大変な事になりますよ?」
「その思考に今更至ったならもう遅い」
男は激しく魔法陣に拳を叩きつけた。するとどうだろう。さっきまで神々しい光を放っていた魔法陣はみるみる亀裂が入っていき、赤く燃え始めたのである……。
「まさか……。私の見よう見まねでその力を手にしましたか」
その男は、呟いた。
「止まるのだ」
――その瞬間。
そう、時は停止した。
「私がここまで成し得たかったものは、こんなつまらない自由過ぎる空間ではない」
ガタイ男に彼が軽く触れると、ガタイ男の時間だけが”ゆっくりと”動き出した。
「――な!こ……、こ……れは……!」
「そこで見ているがいい。今からが世界の変革の時です」
その男は歩きながら軽く手振りをするだけで、その亀裂の入った魔法陣を元通りにしたのだ。
「――私だけが使うこの力が、世界にはびこる」
痩せた男は、胸の前で合掌をし深く祈った。
「絶対転成」
――長い静寂が訪れた。先ほどのガタイ男はそこにはもういなかった。
そして魔法陣も綺麗に消えて無くなっていたのだ。
「成功ですか」
やれやれと、男は立って歩き出した。
ジャンル:アクション〔文芸〕キーワード: R15 残酷な描写あり 青春 異能力バトル ほのぼの シリアス 男主人公 学園 未来 魔法 超能力 123大賞 最終更新日:2022/04/06 22:20 読了時間:約142分(70,572文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 10 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 1 人 評価ポイント: 10 pt |
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