本来殺意とは遠い天使の世界で、無惨な死体が発見される。平和な国に突如起こったその連続殺害は、七年前の事件と酷似していた。当時はただの少女だったリリーは、近衛兵として捜査に乗り出すことにするが、そこで容疑者としての嫌疑を掛けられることとなる。自身の潔白の証明と事件の解決を同時に行うことはできるのか。

花屋の店主は、夫もあるのに、女子高生を抱いてしまった

私が輝かない君を磨く

屋敷で過ごすお嬢様、どこかで不倫をして朝帰りを繰り返す父親、それを察してアルコールに逃げる母親から虐待を受ける少女。そんなある日、父親と下女が性行為をしているのを目撃し、母親もそれを知ることとなる。母親からの虐待がエスカレートする中で、一家が辿る末路とは

　十七歳、女子高生、人生における花の季節は、ある日から自殺願望に支配された。愛した幼馴染の少女が車に轢かれて死んだのが原因だった。 　心の許せる友人を喪失し、自分を殺す方法ばかり想像して過ごしていた斎藤菜月は、あるとき、目が覚めるとまるで知らない世界にいた。そしてそこにいたのは、死んだはずの幼馴染――によく似た少女だった。 　菜月は幼馴染に容姿は瓜二つだが全く別人である少女と不器用に関わりながら、魔法の存在する世界で徐々に生き方を変えていく。魔法を学び、それを人々のために使うことを決めたのだった。 　その折り、城下町で少年から「惚れた奴隷を救ってほしい」とせがまれる。同時に、王国の姫君から謁見の提案が届いていた。魔法使いとしての力の使いどころを探していた菜月は、少年の依頼を飲み、そして姫君の提案に乗った。先行きの見えない世界で、菜月の選択は、姫君を抱いてしまうことだった。 　姫君は思惑通り菜月を愛するが、菜月の運命は、そこから徐々に、思わぬ方向へと転がっていく。 第一部完結済み 第二部連載中

男子禁制パーティーを追い出されたので、女装して再加入することにする。 ・・・・・ 「もう我慢の限界！」 ルイ・ベルナールはあまりの傲慢さ故に、女子の多いパーティーを追い出された。 貯金も底を尽き無一文となった彼に残されていた道は持ち前の容姿で役者として生きることだけだと思われたが、彼はそこで思わぬアイディアに辿り着く。 そうだ、女装してあのパーティーに戻って、俺が必要だったってことを思い出させてやろう。

　私が彼女に抱いていた感情が何であったかは、思い出そうとしなくても、忘れ去ろうとしてさえ、分かったままである。 　それが一般的にどうであるとか、そういうことばかり気にして、結局どうなったかといえば、見ての通りだ。 　私たちはまるで違う存在だった。彼女は私にないものをたくさん持っていた。もし私たちの不思議な関係に原因があったとするなら、それなんだろう。そう感じるのだった。そう思うのだった。 　空を舞う花束を見つめながら。

『この小さな、目的を果たさなければ意味のない肉体が痛むからといって、叫ぶからといって、なんなのか。――夜の闇が味方だった。常に。人の顔色を窺わなくていいから』 　天上には殺意を持つ者はいない。 　天使たちは、それ故に平和に暮らしていた。 　十七歳のリリーもまたそのうちの一人だった。マクナイル城の近衛兵として働きながら、小さな事件を解決しながら、大好きな姫君の横で働くことを夢見ていた。 　そんなある日、城下で無残な殺害事件が起こった。 　天上には殺意を持つ者はいない。それ故に平和に暮らしているはずだった。 　七年前に起きたものと類似した殺害事件。 　リリー・エウルは近衛兵として、一度は解決したはずの事件の終息を目指すことになる。 　――が、そこには少女にとって残酷な運命だけが待ち構えていた。 　※連載中の「天上の黒百合」は、このLily in Blackのリメイク版になります。大筋のストーリーは一緒ですが、工夫を新たにしているものでもあるため、新連載の方を読んで頂けるのであれば、そちらを読むことを推奨いたします。

　少しずつ死んでいくらしい。