私の共犯者になってくれる？ ――あの日。 彼女の秘密を垣間見た持月は、罪の味と出会った。 アルバイトで食いつなぐうち、持月は二十九歳を迎えていた。同僚の綾香は彼氏持ちだが、彼らは秘密裏に関係を結んでいる。 持月はある日、高校の同級生である嶋田から同窓会の誘いを受けた。行くつもりなど端からなかったが、参加者の中に百瀬の名前を聞いて彼は驚きを隠せなかった。 甘い香り、苦い記憶……。 蜜のように甘い体験でありながら、同時に彼の心を蝕んでいく。 高校時代の淡い初恋の想い出を未だ消化することの叶わない持月は、その頃を思い返しながら今と向き合う決心をする。

短い夏の間、バトンを繋ぐように人々の縁に触れた僕は、“家族”の秘密を知った。 昨日、祖母が息を引き取った。 久方ぶりに生まれ故郷に戻った僕は、何年も前から続く母との関係性の不和から些細なことで衝突し、勢いで葬儀場を飛び出してしまう。 忌々しい故郷の街並みを眺めながら彷徨い歩いた僕は、偶然にも昔の同級生と再会した。彼との出会いをきっかけに、心の中で凝り固まっていた何かが少しずつ解れていく。 「人生を例えるなら、アイスクリームかもね」 遅れてやってきた青春時代。友人から学ぶ絆の形や、謎めいた美少女からの誘い。そこでは幼少期に失踪したはずの父の痕跡が――。 これは僕にとって、はじまりの物語である。

個性豊かな宇宙人たちとの出会いを描いた物語です。 都会で一人暮らしを始めた大学生の萩原新は、迷子の少女ピスカに出会った。“大事な探し物”があるのだと言われた彼は仕方なく手助けをする羽目になったものの、謎の追手が次々に現れて事態は慌ただしく急変していく――。 ほかに地球へ逃亡した人工知能メカの捜索を行う「パラダイスの逃亡者」、無類のナンパ男の苦難を描いた「めぐり逢えたら」など、癖の強い宇宙人たちが自分勝手に生き様を見せつけます。 宇宙人はあなたの日常にも潜んでいるかもしれません。 第二部も執筆準備中です。。

美しい湖畔にて、彼らが探し求めた再生の道は――。 些細な過ちか。それとも、この上ない絶望か。 人はそれぞれに悩みを抱き、その傷の重みは他人が容易に推し測るべきものではない。 引き寄せられるように門を潜り、男体山を登り始めた男。 宿で出会った麗しい男性に、どこか心惹かれてしまう青年。 新たに夢中になれるものを探し求め、湖畔を彷徨い歩く少女。 魂の転生を経て、見知らぬ少年に憑依した男。 これは静かな湖畔の宿を訪れた四人の挫折と、再生を描く物語である。

童話の世界に救いを求めるべきではない。 大学四年の夏、私は就職活動に落ち続けていた。 もはや慣れっ子だと自身に言い聞かせ、気持ちを平坦に保ちながら地道に就活を続けていたが、それでも知らず知らずのうちに“心”は摩耗していく。 そんな中、姉が突然の自殺未遂を起こした。私の放った心ない一言が、彼女を追い込んでしまったの……？ 姉の本心を探るべく動き始めた私は、いつしか不可思議な世界に流れ着いていた。 そこで出会った少女と共に生活を送るうち、私は自身の本音と向き合い始める。

#春 #新生活 #2,537,000光年先の隣人 まさかこのマンションに、宇宙人が住んでいる――！？ 彼らには、人に言えない秘密があった。 都会からほど近いマンションの同階に暮らす三人の男は、それぞれが日々独立した生活を送っていたが、お喋りな女が空室に入居した事により今まで交流を持たなかった隣人同士に少しずつ繋がりが生まれ始めた。 ある晩、ベランダから謎の飛行物体を目撃した前野は、何者かがエントランスに消えていくのを見た。 その晩を境に、密かに宇宙人探しが始まった隣人たちの関係性は、やがて予期せぬ展開を迎え始める。