剣をみると震えるほどの恐怖を抱える少年アキラは、ひょんなことから白髪の精霊少女が宿る不思議な剣を手にする。 その精霊アイは、能天気ながらもアキラを「運命の宿主」と呼び、彼の世界を普通でない方向へと導き始める。 アキラが住むディヨン村では、教会の意志の元、長年まつられてきた祠の取り壊し計画が進んでいた。 聖職者ペストロは、村を裕福にするという甘い言葉で村人たちを説得しようとするが、アキラは祠に秘められた真実を知る。 それは、上半身が美しい女性、下半身が蛇という不思議な姿をした「ラミア」と呼ばれる存在が、かつて村を隣国の侵攻から孤独で守り続けてきたという歴史だった。 恩人であるラミアの祠を無慈悲に滅ぼそうとする村人たちから、アキラは救おうと奔走する。 剣など握れなかったアキラだが、アイの力、そしてラミアを救いたいという強い想いに突き動かされ、聖職者の雇った傭兵たちと対峙する――。 剣の精霊が導く、人と精霊と魔物の物語。

　世界には『勇者』と呼ばれる人物以外にも、人々は確かに存在し、生活し、暮らしている。 　魔物が跋扈する傍らで、世知辛い日常を生き抜いている彼等にも、そこはかとない物語があるのだ。 　これは、そんな彼等の、決して語られない物語――。

　現実を悲観して、ビルから飛び降りた青年。 　幽体の体でじぶんを見ていると、そこに死神が走馬灯を見せにやってくる。 　死神が見せた、景色の真意とは――。

「ご趣味は？」「戦隊モノです！」 　平凡な日々をおくっていたサラリーマン、神村信希は、どこかで一杯でもと、適当な居酒屋に入る。 　なんとなく入ったその居酒屋は、テーマ居酒屋の様で、正義の味方テーブルと、悪の一味テーブルに分かれて飲むスタイルだった。 　正義を選択した信希は、先客の酔っぱらい達に絡まれつつも、正義談義に華を咲かせた。 　翌日、二日酔いでどうやって帰ったかも思い出せない信希が目覚めると、見慣れないブレスレット――変身ブレスレット――が腕に巻かれていた。 　ブレスレットが外れない事に困惑していると、ブレスレットはけたたましく鳴り響き、信希を『集合場所』へと誘う。 　そこには、黄色や青といった、レンジャー仲間がいて――。