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作者:浮世人/作品情報/Nコード:N2857HG
短編 |
どどんと読書をする私の目の前で仁王立ちをしているのはこの部活の部長である輝鞠(てまり)。
ちんまりとした身長をしている彼女だがなんと年齢は私より年上の17歳というのだから驚きだ。
そしてその横の机の上で顔を伏せて項垂れているのが京都(みやこ)。真っ黒い整いすぎなサラッサラッの髪を珍しく乱して何やら唸っている。しかし居眠りをしているわけではないそう。
「愛理くん! この私が直々に、君に問題を出してやろう!」
言葉の節々からドーンといったような漫画の効果音が出てきそうな物言いに、順応の早い私は入部(強制)初日から徐々に慣れていった。
「……はぁ。ご勝手にどうぞ」
と、ページを捲りながらいえば、彼女はその坐っているのかも怪しい細い首を傾げ、もっと他には? などと強欲なことをキラキラさせる目線から伝えてくる。
それをまたページをめくって無視をすると、彼女は決まって、
「っかー!! 聞いたかい京都(みやこ)! この愛理くんの物言いを!」
と京都に欲しい答えを投げる。この質問では、はいとしか求めていないだろう。なんというか、子供の強欲さを持つ人だ。
「……ええ。はい」
むくりと顔を上げれば、彼女のあからんだ表情が目につく。一つは突っ伏している際にできた鼻とおでこと頬の赤みと髪でできた肌の寝癖がくっきりと。もう一つは目元と唇が、涙の分泌と血管拡張によりあからんでいて、あ、年甲斐もなく大泣きしたんだろうなぁとちょっと気になる。涙が鼻から出て鼻水みたいになっているし。目の隈もなかなかにくっきりとしているし。
「え!? なんで二人ともそんなにテンションが低いんだ!?」
まるで歌舞伎の見得のようなオーバーなリアクションで私たちにテンションの違いを見せつける彼女。そんな彼女の今日のテンションが高いのには理由がある。
「今日は高校生最後の、文化祭だっていうのに!!」
そう、今日は文化祭があるのだ。入学式が先月だっていうのに、この学校は何かと順番がおかしい。まぁ、この文武両道を掲げている部活先進校の
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕キーワード: 最終更新日:2022/12/22 23:00 読了時間:約9分(4,077文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
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