わたしは平民出身のメイド、リディア。仕えるのは『悪女』と呼ばれるグランツ公爵家の令嬢――エリザベート様。 彼女はワガママ放題で、これまで幾人ものメイドを追い出してきたお方。わたしもいつ解雇されるかと冷や冷やしながらの日々……のはずでした。 けれどある日、お嬢様は高熱にうなされて目を覚ますと……突然、中二病を発症。 「わたくしの名は、漆黒の薔薇ルシファリス」「ああ、漆黒の魔眼が疼きますわね……」「や、闇がっ！　闇が囁いていますわ……！」 と、公爵令嬢として恥ずかしいセリフを惜しみなく発するようになってしまいました。 学園でも社交界でも痛々しい発言を連発し、周囲をドン引きさせていくお嬢様。 悪女から痛女へ。わたしの苦労は違う意味でますます増えるばかりです。 ああ、お嬢様。そのような妄想を叫ばないでください。 ※カクヨムでも投稿中

乙女ゲーム『マジック・マジカル』のヒロイン、フィーナ・セレスタに転生した主人公は前世の知識をフルに活用し、攻略対象を次々に攻略していった。本来は三年かけて好感度をあげるはずのところを一年で攻略対象全員の好感度をカンストさせ、モブ令嬢とも友好関係を築いていた。それと同時に悪役令嬢は破滅まっしぐらであった。そんなある日、主人公は悪役令嬢に捕まる。そして『月の初めに金貨一枚をお支払いするわ。だから、わたくしと……お友達になってくださらない？』と提案され、契約をする。悪役令嬢からお友達料を受け取って一ヶ月お友達をする。そんな歪な関係がはじまった。