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作品情報 連載中 / 全16エピソード ハイファンタジー[ファンタジー]
最終更新日:2025年09月15日 12時12分
最初は、自分こそが影から世界を救う主人公であり、英雄だと信じていた。
だが残念ながら、今の俺にはもう何もできない――俺はすでに存在していないのだから。

記憶を失ったと思い込んでいたあの日から、俺は自分の超能力について深く追求しなかった。
本当は、ずっと目の前にあった“鍵”に気づこうともしなかった。

ただの記憶喪失による偶然の力。あるいは、百万に一人の特別な存在。
そんな都合のいい解釈に甘えていた。
だが、俺は強制的に、最悪の形で知らされることになる――自分が“人間ですらなかった”という事実を。

それでも俺は、世界を救おうとした。
差し迫る危機を止めようと、何度も手を伸ばした。
だけど、どれだけ善意で行動しても、結果としては、大切な人々を苦しめるだけだった。

「おい、何をしている? なぜ俺の歩もうとした道を君まで選んだ?
待っているのは、苦しみだけだぞ……。俺が、あんなにも君を傷つけたのに……」

それでも君は、止まらなかった。
あれほど泣いて両親を求めていた君が……今ではもう、かつての面影すらない。

俺の無知さが、君を“悪魔”へと変えてしまった。
この世界には無関係な戦いに、君を巻き込んでしまったことを、後悔してもしきれない。

「……え? 誰? 君は誰だ? なぜ人間に対する共感がない?
まるで、かつて自分も人間だったことすら忘れているようだ。怖いよ、君……」

君は今や、この世界で最強の存在となった。
君の名前を口にするだけで、人々は震え、異世界の精霊や魔物でさえも恐れている。

その力に飲まれるつもりか? もしそうなら、教えてくれ。
――君がこの世界を救おうとした、その意味は?
それは本当に、自分の意思だったのか? あるいは、ただの自己満足だったのか?

無敵、獰猛、理不尽、そして冷酷。
もし俺がまだ生きていたら……君のその性格を止められたかもしれない。
けれど、俺はもういない。何もできなかった。

結局、俺がこの世界に残したのは、
計り知れない危機をもたらす存在――君という“災厄”だった。

そうだ、これは俺の物語ではない。
俺はただの“始まり”に過ぎなかった。
この世界を破滅へと導く、物語の出発点でしかなかったんだ――。
文字数 64,898 字
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作品情報 完結済 / 全19エピソード ハイファンタジー[ファンタジー]
最終更新日:2025年09月17日 19時21分
 世界の管理者達の取引により、大量の魂が異世界に流れ込んできた。
対応に苦慮した管理者の助手達は彼等に一度だけのチャンスを与える。
 それに失敗すれば、魔物に変わってしまうのだ。人として生き残るためのサバイバル。
 その中に東海林有生はいた。彼は人として生きる為に頑張り抜く事が出来るのか。そんなお話です。
文字数 64,883 字
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作品情報 連載中 / 全67エピソード ローファンタジー[ファンタジー]
最終更新日:2025年08月20日 21時30分
平凡な大学生が童話をテーマにしたバトルロワイヤルゲームに巻き込まれる
文字数 64,882 字
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作品情報 連載中 / 全31エピソード 現実世界[恋愛]
最終更新日:2025年07月21日 01時00分
 高校二年生の蔵真 龍彦(くらま たつひこ)には困ったことが……いやそこまで困ってないことがある。
 それは中学の時からなんだかんだ一緒のクラスになっている話題の美少女(と言われている)白雪 繭奈(しらゆき まゆな)。

 目が合ったりすれ違うと睨まれ、龍彦がクラスの女の子と仲良くしていると辛辣な物言いをされる始末。
 そんな女の子と、ひょんなことから少しずつ距離を詰めることになる。


※この物語はフィクションです
文字数 64,881 字
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作品情報 連載中 / 全40エピソード ハイファンタジー[ファンタジー]
最終更新日:2025年07月01日 06時00分
畑を耕し、家族と笑い、静かな朝を迎える青年ゼント。 だが彼の心には、毎晩繰り返される“夢”が残っていた。 鎖の音、血の匂い、「おまえのせいだ」と告げる声──
それは現実の記憶ではなく、別の世界の誰かの“記憶”だった。
やがてゼントは気づく。 自分たちの暮らしを蝕む不可解な税──売上税15%という仕組みが、 市場を、家族を、未来を奪っていることに。
夢と記憶を手がかりに、青年は“この世界の構造”と向き合いはじめる。
経済? 税制? それでも生きる。 消費税と異世界召喚からは、逃れられない。
Haynory(はいのりぃ)
文字数 64,833 字
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作品情報 短編 ヒューマンドラマ[文芸]
最終更新日:2025年05月02日 03時34分
 メイビスでは最近、「嫌なことがあれば忘れればいい」という考えが広まってきている。
 その原因は、ここ数年であるすごい科学者が、人の記憶の一部を消すことのできる、キカイを作ったからであろう。
 しかし、その記憶の一部が実体を持ち他人の記憶の一部として他人に入り込むことができること。
一度消した記憶が再び呼び覚まされる時、その人の精神に激しい負荷をかけるようになることに、まだ、誰も気づきはしないだろう。
文字数 64,810 字
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作品情報 完結済 / 全2エピソード VRゲーム[SF]
最終更新日:2025年08月04日 17時48分
「まだ人間でないもの、もう人間でないもの」

2050年。
人間に作られ、使われ、そして捨てられたアンドロイドたちは、廃墟に潜みながら憎しみを積み重ねていた。
そんな時代に、ひとつの家事専用アンドロイド——アイリスは、偶然出会った姉弟と共に逃亡の旅に出る。

暴力にさらされて育った姉弟、そして人間を信じないアイリス。
最初は互いに寄り添うことすらできず、廃墟の闇と赤い光の中で敵意だけを抱えていた。

逃亡の途中で出会うのは、人間からもアンドロイドからも疎まれた者たち。
病に倒れかけた弟をかばいながら、
姉とアンドロイドは次第に言葉を交わし、小さな信頼を積み重ねていく。

雨の街を抜けるたびに、世界の境界線は揺らいでいった。
それでも、廃棄されたアンドロイドたちの憎悪は強く、
人間と機械の隔たりは容易には消えない。

数々の衝突と対話の果て、彼らはわずかな協力者を得て、
ほんの小さな希望のかけらを胸に、次の旅路へと踏み出す。

まだ人間でないもの、もう人間でないもの。
そのあわいで心を交わした三人と一体の物語、
これが第1部の終わりであり、次なる境界の始まりである。
文字数 64,787 字
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作品情報 短編 その他[その他]
最終更新日:2023年09月29日 07時27分
粘土でお人形さんを創ることが大好きな亜希子という女性が、
帯広の老舗デパートの藤丸の一角を借りて、いままで身近なものを題材にして、
想像し創作してきた粘土のキャラクターの作品展をすることとなった。
ところが・・・。
文字数 64,773 字
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作品情報 完結済 / 全29エピソード ハイファンタジー[ファンタジー]
最終更新日:2025年07月21日 20時45分
「砦がドラゴンに襲われた」
 領主の次男であるゼクルスがその一報を受けたのは、幼ななじみのファナに贈る結婚指輪を作り終えた日のことだった。
 次期領主である兄アインハルトに「なぜ砦が襲われたか」を調べるよう命じられ、ファナと共に調査を開始する。襲ってきたドラゴンの体には、文字が書かれていたという情報を得たゼクルスは、領主家が封印してきた禁術『走狗』の流出を疑う。
 しかし、報告しようとした矢先に兄は攫われてしまい、「兄君は預かっている」と脅迫状が届いた。
 かくて、ゼクルスは知識と機転を武器にドラゴンに立ち向かう羽目になる。
 
 ――これは、大切なものを守ろうとあがく少年の物語だ。
文字数 64,746 字
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作品情報 完結済 / 全38エピソード 現実世界[恋愛]
最終更新日:2025年06月24日 18時00分
すみれは恋をしていた。

高校時代、ただ遠くから見ているだけ。
だって、その人にはお似合いな彼女がいたから。
誰にも言ったことのない恋心。

ずっと憧れて好きだった先輩と、就職で再会する。

やっぱり好きだ。
彼女がいても好き。
見てるだけで声が聞けるだけで、幸せ。

なのに。
「そんなにアイツがいい?」
誰にも言ったことのない恋心を上司である理人に言い当てられて、酔った勢いで溜め込んでいた涙も全て吐き出してしまった。

「さっさと告白して振られたらいいのにと思ってる」なんて意地悪言うくせに、困っているところは助けてくれる。

ーーー新しい恋をして忘れるのはどう?

女友達の多い男の人は簡単にそんなことも言えるのね。なんて思いながら、辛い恋を忘れてしまいたい自分もいて…

1日2回更新。全38話。
文字数 64,721 字
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作品情報 連載中 / 全16エピソード ハイファンタジー[ファンタジー]
最終更新日:2025年05月11日 18時00分
どこかの国のどこかの街中にあるという、オルゴール専門店。
その店主は双子の幼い兄妹。
「音箱屋」という名前のその店では、想い出をオルゴールに出来るという。
そんな噂を聞きつけた誰かが、今日もまたやって来る。

ストック切れの為、不定期更新中。
文字数 64,720 字
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作品情報 連載中 / 全19エピソード ハイファンタジー[ファンタジー]
最終更新日:2025年09月18日 14時00分
何かに突き動かされるようにシュウは人型兵器EL.F.を開発する

それは滅びの記憶
それは絶望の記憶

期待と希望を胸に冒険していた世界が唐突に終わる夢
あまりにもリアルなその感覚は追いかけてもボヤけたまま。

ただひたすらに開発を続けていた時、シュウに一通の新着メッセージが届く。

Welcome back, fairy king.
文字数 64,701 字
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作品情報 連載中 / 全25エピソード 現実世界[恋愛]
最終更新日:2025年09月25日 18時45分
書店でバイトをしている大学生の獅子原密は、仕事中に同僚の女性――灰咲棗に「……今日、泊めてくれない?」と声をかけられる。
詳しく話を聞くと、元カレのDV野郎から逃げてきたが、最近になって居場所を特定されてしまったらしい。
彼女でもない女性を家に泊めるのは如何なものか、と悩む密だったが、放っておけなくて泊めることにする。

そうして始まる二人の生活。

ヤニ吸う彼女とナニをする?
文字数 64,664 字
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作品情報 連載中 / 全35エピソード ハイファンタジー[ファンタジー]
最終更新日:2025年05月25日 15時36分
8年前、アレイオスの海岸に流れ着いた金と鉄色の刃角の少年ピピンは、サーカスの奴隷として拾われて曲芸師として育っていた。
 異世界転生してきたピピンは、サーカスにいるさまざま亜人や魔獣と暮らしながら、外の世界に飛び出す自由を夢見ている。

 姉弟が奴隷から自由を求めて、島から大陸へ世界を広げていくストーリー。
文字数 64,647 字
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作品情報 連載中 / 全10エピソード ローファンタジー[ファンタジー]
最終更新日:2025年01月20日 07時55分
 雪が積もるど田舎から東京の女子医大へと進学した。とにかくガリ勉だったお陰で医大は主席でもないらしいが、合格が出来た。騙されて新入生代表へと推薦されていた……らしい。

 いざ通学してみれば不器用な己になすすべもなく独りでいる事に気がつくも、自分から出会いを求めて一歩前へ出る勇気が持てない。

 家は姉から譲り受ける予定の豪華なマンションに独り住まい。通学や買い物で不思議な怪異現象へと巻き込まれしまう……予定の女の子。

 姉とは実家で再会してからはメールのやり取りだけになっているも、何時も姉のメールは不可解だった。東京にいる筈の姉の痕跡を見つける事が出来ない。

 女子医大だから恋愛はまだ先だと自認しているが……はて? 不器用な白川癒衣に恋人が出来るのか?

 少しだけガールズラブを思わせる場面もあります。
文字数 64,646 字
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作品情報 連載中 / 全51エピソード パニック[SF]
最終更新日:2025年07月28日 17時00分
サイバー江戸の町を襲った未曽有の大惨禍は、発狂頭巾の犠牲により辛くも収まった。
その行為が正気の下に行われたのか、あるいは狂気に従って成されたのか。
もはや誰にもわからない。

だが一つだけ確かなことがある。
発狂頭巾は『英雄』として死んだ。

英雄の死はいつでも悲惨な混乱を巻き起こすのだ。

文字数 64,638 字
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作品情報 完結済 / 全33エピソード ローファンタジー[ファンタジー]
最終更新日:2025年04月13日 22時40分
 白河流星は、がけっぷちである。

 いったい、この僕に何が出来るって言うんだろうか?
 
 窮屈な箱庭の現実を変えるために。

 そんな、ヘミソフィアの歌詞のような、がけっぷちに立たされた時。
 
 苦難が僕の腕を掴んだ。
 
 そしたら、自分自身の在りかが初めて見えてきた。

 これは、予測もつかない世界へ向かって行くだけの物語である。

──────
 
『もう大丈夫! 何故って!? 私が来た!!』
文字数 64,636 字
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作品情報 連載中 / 全22エピソード ハイファンタジー[ファンタジー]
最終更新日:2025年09月02日 21時22分
スケルトンにされるはずが最恐のアンデッドに!?

三度の飯より骨が好きな少女・ドクロは聖女となるべく日々勉強していた。
しかしその趣向故に学校側からは死体愛好家と判断され、退学の危機に陥ってしまう。
途方に暮れた彼女は森へ散策に出かけるが......
なんとそこで本来生息していないはずの毒蛇に噛まれたことで昏倒し、
しかも怪しげな男達によって見知らぬ場所に連れ去られたことで人をスケルトンに変えるという禁術までかけられてしまう。

......スケルトンになるのなら、悪くないのでは?

そう思った彼女だが、なぜかスケルトンになることはなかった。
失敗したと判断した男たちは、ドクロを森へ捨てることにしたのだが......
この時は誰も知らなかった。
実は禁術の本来の効果が人をスケルトンに変えるものではなく、アンデッドの頂点であるとされる伝説上の存在、「|不死者《イモータル》」に変えるものであったことを。
そしてドクロは禁術に成功し、「|不死者《イモータル》」となったことを。
果たして不死身の肉体と底なしの魔力を得ることとなったドクロの運命やいかに!?

褐色白髪主人公です。
※主人公が恋愛をする予定はございません。ご了承ください。
文字数 64,610 字
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作品情報 連載中 / 全18エピソード ヒューマンドラマ[文芸]
最終更新日:2025年09月25日 20時08分
福岡の片隅にある小さなパン屋「たてやまベーカリー」。
高校生・楯山真は、両親とともに穏やかな日常を送っていた。一人っ子で、特別なこともないけれど、焼きたてのパンと家族の笑顔がある、ささやかな幸福の中に生きていた。

だが、17歳の夏休み——。
東京から転校してきたという謎の少年「九条蒼」が、真の平凡な世界を静かに揺さぶる。最初はただの転校生だった蒼は、ある日、真にこう告げる。

「お前は“七宮家”の血を継ぐ者だ」

自分は誰なのか?
家族への裏切りなのか?
「一般」と「特権」、「自由」と「義務」の狭間で、真は戸惑いながらも、三日月翠や月蓮会の若き継承者たちと出会っていく。
そこで彼が見たのは、血の重み、運命の残酷さ、そして何よりも——若者たちが未来を選び取ろうともがく姿だった。

これは、ただ一人の少年が“名前”を取り戻すまでの物語。
偽られた日常の先に、本当の自分が待っている。
文字数 64,605 字
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作品情報 連載中 / 全11エピソード ローファンタジー[ファンタジー]
最終更新日:2025年09月14日 00時05分
人ならざる者と人間の仲介役。
それが「サルタヒコ商会」という組織である。

この世界には「人外」と呼ばれる、この世の外から来た怪物たちが存在している。古くは神や魔物、妖怪や精霊などと様々な名で呼ばれていた彼らは、この世の理を超越し、意図せずとも世界を破滅に導く「脅威」の一つだ。

そんな彼らの手から人間界を守り、人外が人間界に過度に干渉してこないように防ぎ、問題が起これば調停する。それこそが「サルタヒコ商会」の使命である。

そして瀬奈圭人(せな けいと)は、そんな「サルタヒコ商会」に所属する異能者の一人だ。

仕事に対する情熱は低く、給料分だけの仕事をして、できれば毎日定時で帰りたい。
そんな無気力社員の彼だが、よりにもよって彼の所属部署である「特別顧客担当室」は、社内でもとっておきの厄ネタを処理する、いわば「貧乏くじ」しか渡されない部署である。

そして今回も、見事な厄ネタを掴まされた。

「…だって、自分のことすら覚えてないんだもん。分かるわけないじゃない。」

記憶喪失だという少女は鎮痛な面持ちで、不安と孤独を抱えたままそう言った。邪神と呼ばれる存在に誘拐され、長らく監禁されていたという彼女は、自分の記憶を全て失った状態だった。

「邪神がなぜ彼女を捕らえていたのか、そして彼女はいったい何者なのか。彼女を守りながらそれを解き明かすことが、今回の我々の仕事で〜す」

のほほんとした小柄な女上司は、いつも通り穏やかな口調で命令を下す。それがどれだけの難題なのかは、きっと分かった上でのことだ。

「チコはね、お家がある子は、ちゃんとお家に帰してあげたいって、そう思ってるよ」

無邪気なちびっ子は、期待に満ちた言葉でこちらを見上げてくる。この目に敵わないのは、今に始まった事ではない。

「分かりましたよ。その分、ボーナスはちゃんとつけてくださいね」

瀬奈圭人は、無気力ではあるが、給料分は働く男である。

瞬く間に世界を滅ぼすことのできる邪神を相手に、記憶喪失の美少女を守り切り、彼女を日常に帰してやる。
そんな無理難題も、給料さえ出るのならば、なんとかしてやろうじゃないか。

これは限界社会人異能者である瀬奈圭人が、ちょっと頑張ったり、やっぱりダメだったり、それでもなんとか乗り越えたり、色々あった末に、まぁまぁ幸せで平凡なハッピーエンドを掴む。そんな物語である。
文字数 64,595 字
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