ごく普通の大学生、菊池芳樹(きくち よしき)。
機械いじりとオートバイだけが趣味の彼の平凡な日常は、一本の間違い電話によって、宇宙的スケールで粉砕される。
空腹に耐えかねてかけたその電話の相手は――近所のそば屋ではなく、『お助け旧支配者事務所』だった!
次の瞬間、学生寮の安物の鏡から這い出してきたのは、絶世の美少女…ではない。
頭足類に似た頭部に六つの瞳、顎から無数の触腕を生やし、ぬらぬらした緑色の巨体を持つ、筆舌に尽くしがたいほどに冒涜的なる神《クトゥルフ》!
パニックのあまり芳樹が口走った願いは「(出前の)そば(じゃなくて、童貞のまま死ぬのは嫌だからサポートし)ぃてほしい!」…のはずが、最悪の言い間違いによって「ずっと、そばにいてほしい!」という、宇宙を巻き込む愛の告白(?)に!
こうして始まった、身長三メートルの邪神様との奇妙すぎる同棲生活。
そこへ、芳樹を巡ってクトゥルフをライバル視する尊大な神《ハスター》や、家の炬燵を気に入り根を生やしたぐうたら神《ツァトゥグァ》、さらには宇宙的テクノロジーを振りかざすキノコ型異星人《ミ=ゴ》まで押しかけてきて、芳樹の日常は混沌の坩堝(るつぼ)と化す!
これは、這い寄る宇宙的恐怖(コズミック・ホラー)と、鳴り響く恋の鐘(ラブコメディ)が奇跡の融合を果たした、SAN値ギリギリの物語。
艶めかしくも冒涜的な神々に翻弄され、彼の理性(SAN値)と心臓(ハート)は常に限界突破!
果たして彼は、平凡な日常を取り戻せるのか? それとも、この混沌こそが、彼の新たな日常となるのか?
――世界の存亡をかけた(かもしれない)ハイテンション・ラブコメ、ここに開幕!