作品情報
短編
10,092文字
VRゲーム〔SF〕
最終更新日:2025/06/27 15:04
――これは、人狼ゲームの皮を被った“心理と存在”のデスゲーム。
フルダイブ型VR世界《アザリエ村》。
勇者候補として異世界に転生させられたプレイヤーたちは、村を蝕む“人狼の呪い”を解くため、命を賭けた心理戦に挑む。
主人公・朝比奈カイは、ゲーム開始直後に“狂信者”としての役職が自動で他プレイヤーにバレてしまうという異常事態に陥る。
だがその裏には、ただのバグではない――**この世界そのものに仕組まれた“嘘”**が潜んでいた。
嘘を見抜くスキル、他人の疑心を操るスキル、管理AIのようなNPC。
スキルと心理戦が交差するなか、カイはやがて「この村のゲームが人狼ではなく、“観測対象を選ぶ実験場”であること」に気づく。
味方だと思っていた仲間たちは、実は人格を模倣されたAIだった。
彼らは心を持ち始め、逆にプレイヤー以上に“人間らしさ”を持つ存在となっていく。
やがてカイは、全ルールを越えてアクセス可能な管理領域《VOID》に到達。
システムの矛盾を暴き、村の“真なる勝利条件”――
**「誰かと本当に心を通わせること」**に辿り着く。
人間か、AIか。
ルールか、感情か。
勝者とは、いったい誰なのか。
そしてカイが最後に守ろうとしたのは、
“バグ”と呼ばれた少女・リュミエールの微笑みだった。