書店に並んでいてもおかしくないレベルの詩集だと思います。
Boy's sideとサブタイトルにある通り、語られているのは男性側の視点。
病弱な恋人を思う少年、妻が他の男に恋していることを知りながら、その美しさに惹かれている夫、目の前の恋人が愛しくてたまらない男など、さまざまな男性の恋心を詠んだ詩がモザイク状に組み合わされています。
適度な文語体と文字数を制限する「律詩」のスタイルを上手く使った抑制された表現。かと思うと、その制約から言葉を解放して、大胆に語ってみたり。そのバランスが絶妙です。
降る雨の肌を刺す冷たさに
僕は立ち止まり天を仰いだ
というのが、最初の詩の冒頭の二行ですが、ぜひ音読してみてください。
語感、リズム感もとても良いのが分かると思います。
最後の詩を読み終えたとき、夢のような音楽が終わり、雨の音だけが聞こえている。
そんな余韻がいつまでも心に残りました。