“恋愛小説”というと、甘く切なく、時々泣ける。そんな印象が、頭のどこかに巣食っている気がします。
ですがこのお話は、甘すぎず、苦すぎず、少し変わってはいるけれど、どこか共感できる。そんなキャラクターたちが織り成す物語です。
各話でキャラクター視点が替わり、それによって各々のキャラクターの思考が読者に伝わってきます。しかし当然、キャラクター同士はお互いの気持ちを知りません。そこが、読んでいて楽しめるポイントのひとつです。
読み手はキャラクターに対して「がんばれ!」と、内心エールを送ると共に「あぁ! もどかしい!」という悶々とした気持ちに苛まれることでしょう。それが読み進めていくうちに、だんだんと癖になってくると思います。
ミルクチョコレートのような恋愛小説を読み飽きた方におススメしたい、ビターチョコレートにオレンジピールを加えたような恋愛小説です。