和大（かずひろ）、隼斗（はやと）、政悟（せいご）は三兄弟。それぞれ父母が異なる複雑な血縁を持つ。しかし三人にとって大切なのは血のつながりではなく、共に育ち、支え合ってきた日々だった。 末弟の政悟はまだ十四歳。 少年と呼ぶには繊細で、大人と呼ぶには無垢すぎた。 彼らが仲間とともに担うのは、「正義」では語れない任務。 「犯罪を未然に防ぐためなら、犠牲も選ぶ」 今日もまた、命を懸けた任務に挑む。 ――それでも、信じていた。 自分たちは同じ場所に立っていると―― 使い捨ての駒に過ぎないと知りながらも、彼らは戦い続ける。 やがて、それぞれの「守りたいもの」が、彼らを引き裂いていく。 裏切り、葛藤、分かちがたい絆。兄弟の絆と裏切りが交錯する。 人は堕ち、そして選ぶ――生きる意味を。 正しく堕ちきるその先に、光はあるのか。 正義では語れない任務の先に、彼らは何を見るのか。 今を生きる、すべての人へ贈る。 悲しいだけでは終わらない、静かに心を打つ物語。