神話は実在した。しかし、現代には一部の存在を抹消し、改竄し、伝わっている。 　エレメンター、かつて神が魔力の使用を認めた者の総称。 　精神と物質を繋ぐ魔力によって森羅万象を操作する。神代には神々の戦争に徴兵され、聖戦によって神の予測を越え、神々の殺戮を開始した。 　しかし、神々も無抵抗ではなかった。エレメンターの存在を地球から消し去り、魔境という第二の地球に彼らの新天地を用意した。 　そこに、かつての戦争の敗者、悪魔が降り立ち、長きに渡る戦争が始まった。 　そして現代。 　魔力を知らない地球で育った山滉穎は、その魔境に仲間と共に召喚された。 　彼は知らない。 　彼も知らない、山滉穎を魔境で知ることになるとは。 　彼は知らない。 　自分に、英雄と怪物の資質が有ることを。 　彼は知らない。 　悲劇塗れの運命を。

　本編『月影のエレメンター』の設定を書きました。 　設定だけが煮詰まり、ストーリーが遅々として進まない私の自己満足のために用意した様なものです。ネタバレ含みます。 　投稿は私の気分次第となりますが、要望があれば優先的に書かせていただきますのでよろしくお願いします。 　また、本編が進むにつれ、明かされる情報も有るので、そういった類いのものは追加で関連する単語の解説に行間を空けて挿入することになります。 　追加で加える情報には、「追録」と前置きすることにします。 　ご了承下さい。

　今から四十一世紀も昔、遠く離れた異世界で。 　軍団をもって大河を渡り、大軍を率いて砂漠を踏破し、大山脈を超えた一人の男がいた。 　男は、圧倒的な武力でもって異民族を支配し、蛮族を征討した。 　男は、長く続いた動乱の時代を終焉に導き、旧体制の破壊を実現させ、新しい秩序を創造した。 　その男の名を、フレイマー・フェニックスという。 　後に、「原初の皇帝」、「炎帝」と呼ばれ、畏れられ、そして敬われた男であった。

　その昔、「悲劇の英雄」と後世に伝えられた一人のエレメンターがいた。それは、41世紀も前の話でありながら何度も戯曲化され、物語として語り継がれた、たった一人の女性のために命を絶やした男の話。 　まだエレメンターが「エレメンター」と呼ばれず、「覚醒者」という上位存在として人間社会を支配していた頃。魔境では、強大な帝国がキトゥリノ大陸の大部分を支配していた。 　帝国を治める皇帝は激しい皇位継承の争いを自身の皇弟と共に勝ち抜き、絶大な権力を握った。 　そんなある日、皇帝が一人の美女に一目惚れし、強引に彼女を妻にしようと画策する。 　そして、後に「キフの乱」と呼ばれる事件は起こった。

　クロノス暦4096年、地球では西暦2020年。山滉穎達は、暗黒世界と自然休戦中の魔境に召喚された。 　そこはかつて神話時代での戦争により、創らざるを得なかった第二の地球。魔境に召喚された滉穎達は、テロリストとの突発的な戦いを終え、五神祭へと挑戦するためにフレア帝国へと向かっていた。 　しかし、八年後暗黒世界との戦争を終結させる彼等には当然の様に困難が待ち受けていた。 　天災という運命を刻まれた少女と共に。

　私のプラス・マイナスの感情に対する考え方を纏めました。元は魔物・幻獣の対となる設定を説明するために書き起こしたものです。 　逐次、推敲すると思います。

　『月影のエレメンター』の作品中において、魔境での勇者と英雄の違いについて語ってみました。年齢としては小学生卒業くらいである後の公爵家当主の望月明衡の口、というよりは手を借りています。

　エレメンター、神話時代から存在する神が魔力の行使を認めた者の総称。 　彼らは精神と物質を繋ぐ力、魔力によって元素、現象をはじめとした森羅万象を操作する。 　悪魔撲滅を天命として戦い続けるエレメンター、最後の戦争が一人のエレメンターを軸にここに記される。 　しかし、孤高な海千山千の蛇であり、孤独なハイエナには、まだその道のりは程遠い。 　時は西暦2020年。日本の学生である山滉穎とその仲間達は突如として魔境に召喚された。彼らは地球への未練も無く、エレメンターとして生きることを決める。 　だが、彼らを待ち受けていたのは、人を蝕む悪意と殺意であった。