後の世に、著名な歌人として数多くの作品を遺すことになる西行。 元は高位の武士として、平安時代末期に数多くの武勲を上げていたが、殺生を重ねる度に心苦しくなり、遂には出家して戦友である北住と共に、高野山に籠ることにした。 入山してから３年。 「悟りの糸口」を見つけた西行とは違い、どうしても悟りに近づけない北住は絶望の末、自ら命を絶ってしまう。 西行は己の浅はかさが北住を死に追い込んだと後悔する。 北住をもう一度、この世に呼び戻したいと切望する西行は、死者をこの世に呼び戻す秘術である「反魂の術」に手を染めてしまう。 術が成立する２７日目に、西行が目にしたのは、亡き友の面影を残す異形のモノだった。

3056年、“A”EARTH H.Pと呼ばれるAIにより統治された世界は、壁の国“ティオレ”が神の遺体から得る莫大な情報“遺識”によって栄華を極めていたが、ある事件をきっかけに遺体は鉄の国“フェルム”によって奪われてしまう。 ティオレの特殊部隊“PSEF”隊員のアインスは、奪還のため仲間と共にフェルムへと向かう─── ※ハーメルンで投稿したものを改稿したものです。

　小学四年生のあの日、わたしは死神と賭けをした。 　大好きな涼くんを救うため、そのかりそめの命が尽きる約束の日までに彼に〝好き〟を教える賭け。なのに何ということでしょう。約束の日が迫って来ているというのに、これっぽっちも好きだと言う気配がないのです。好き、なんて漠然としたもの、どうやって教えたらいいの。どうしたら〝好き〟だと言ってくれるの──？

「雪だるまは、歩けるんだから！」 　小さな女の子の意地っ張りな言葉が生み出した、冬の夜の奇跡。かりそめの命を得た彼は短い時間の中でそれをどう使うのか。