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作者:はねまる/作品情報/Nコード:N8252GR
完結済 (全21エピソード) |
久松 咲江は妾の娘だった。
飽きられた妾、その娘だった。久松家は帝都有数の名家であったが、当然そんな咲江に血筋相応の待遇は望めなかった。そしてそれは、妾である母の死と共に悪化の一途を辿る。
義理の姉である本妻の娘、久美子に玩具としてたわむれに弄ばれる毎日。
ただ、咲江は何も気にしてはいなかった。
受け入れるだけなのだ。
それが母の教えだった。望まず奪われるように妾にされ、子を作らされ、飽きられ、他に生きる術もなければ久松を頼るしかなかった母の教えだ。
全てを文句も無く受け入れる。それが自分たちのような者が幸せに生きる唯一の方法なのだと。
そうして咲江は十八の年を迎えることになった。
相変わらずの弄ばれる日々を送っていたのだが、そんな彼女に突如縁談が舞い込む。
彼女の幸せを願ってのものではない。義理の姉のたわれむの一環だった。相手は咲江よりも二回り以上年上であれば、ろくな評判の聞こえてこない悪漢であった。
しかし、受け入れるだけだった。
咲江は淡々と嫁ぎ先に出向くことになる。そして、大きく首をかしげることになった。促されて、足を踏み入れた座敷間。そこには嫁ぎ相手である悪漢がいるはずだった。だが、咲江が目にしたのはクリクリとした黒目のたぬきの姿だった。
それは不思議なたぬきだった。
そのたぬきは、言葉をあやつり、人に化け、妙に気が小さく、そして……彼女に優しかった。
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕キーワード: R15 和風 恋愛 ハッピーエンド たぬき 令嬢 ほのぼの(風味) 最終更新日:2021/05/23 08:10 読了時間:約106分(52,766文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 78 pt ブックマーク: 14件 評価人数: 8 人 評価ポイント: 50 pt |
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