西暦二一五七年、ゲームエンジンをベースに進化したVRネットワークは再三に渡って提唱されたメタバースをついに実現した。第三世代神経接続規格「オムニスケープ」による仮想世界には、今や現実を遥かに凌駕した新しい日常が構築されている。 一方でシステム障害やクラッキングなど現実で起こり得ない現象に対してオムニスケープは超常的な描写を余儀なくされた。それらの対処もまた超常的に具現化されるに至り、オムニスケープはヒーローやヴィランの実在する世界となったのである。 このお話はそれぞれの主人公によるオムニバスとクロスオーバーです。 よろしければ用語解説も合わせてどうぞ。 【ハンマーガール】 ヒーローを目指す引き篭もり少女、相棒は幽霊？ 伝説の賞金首と出会ったことで一躍有名になるが…… 【ガンズロウ】 眠らない街に暮らす過去のある貧乏探偵 ある日どこか見覚えのある少女が押し掛けて来て…… 【クイーン＆ザ・ビースト】 独占欲と虐待癖で弟と引き離された女科学者 巨大プロジェクトから離反したことで追われる身に…… 【デアボリカ】 同じ顔の娼婦を殺害し続ける青年 壊れて行く自分を自覚しながらも殺害を重ねるが…… 【クロガネ】 疑似人格の家族と暮らす十二歳の少年 父の残した強大な遺産に人生の選択を迫られる…… 【オムニバース】 VR世界に隠された謎と陰謀を軸に合流するヒーローたちの物語

邪悪なる魔術師アンドリューは犬猿の仲である狂王ロバートの秘宝を奪い、迷宮の深部で秘宝の研究をしていた。 やがて、その行為にも飽き、現実逃避に冒険者たちの情けない姿をみるのが日課になったアンドリューの目の前に現れたのは…？

　ある日突然、人生の迷える子羊――つまり俺のところに、白い美女が訪ねてきた。 　彼女の上目づかいは凶器――「お時間、ありますか？」 　彼女のおねだりは凶器――「わたしを助けて……」 　彼女の言葉は凶器――「無理矢理……、だったわ……」 　そんな彼女に手を引かれ、俺が辿りついた先にあったモノとは……？ 　オマージュに塗れて純SFとは言い難いおっさんホイホイ。 　さぁて、あなたはいくつわかるかな？ 　って、若い人も普通に楽しんで行って下さい。たぶん楽しめます(当人非)。 　※注意：過分にオマージュが含まれています。お読みになる際は、用法用量をお間違えのないようにお気を付け下さい。 　☆この物語は空想科学祭2010に参加しています。