転移魔法陣を何度もくぐり抜けた先の口外無用の空間でひっそりと営業しているジャパン・レストラン。 ＜異世界日本人の会＞のメンバー、勇者ライアン・僧侶レスター・魔法使いリン・王女ドルリーの４人は、月１回ここに集まり、懐かしの和食に舌鼓を打つ例会を開催していた。 普段はなかなか口にできない転生前の与太話に花を咲かせるなか、その日のゲストが発したちょっとした話題をきっかけに、会の趣向はなぜか謎解きへと変容する。 各人がさまざまな推論を披露していくが真相には到らず、まもなくお開きを迎える時間となったそのとき、いつも謎を解き明かすのは、例会のメニューを取り仕切るオーナーシェフのアンリなのだった。 ※本作品は「黒後家蜘蛛の会」をオマージュした、「異世界×グルメ×ミステリー」のオリジナル短編連作です。 第1集収録の「会心の笑い」をお読みいただくと＋αの面白さを味わえるかもです。

　舞は深夜のコンビニにタクシーがダイナミックに入店する現場に居合わせた。舞はその事故よりも、自分の傷の手当てをしてくれた青年――白翔（あきと）に対して言い知れぬ恐怖を抱く。『関わってはいけない』そう思っているのに、彼の押しの強さに負けて、舞は彼と行動を共にするようになる。