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作者:水吉/作品情報/Nコード:N0603EU
短編 |
時代は進んだ。思ったほどSFな世界はやって来なかった。
騒ぎまくった専門家を裏切って、地球温暖化の進行は大した事がなかった。地球は人類が考えるよりずっと強い生き物だった。
他の惑星に引っ越す事もなく、人間は未だ地球にしがみついている。
かつての首都東京は超巨大台風の猛威に落ちた。その時、政府は首都を奈良へ遷した。
それが僕の生まれた頃の事。
大手自動車メーカーが空を走る車を開発、発表した。だが、法律の壁に阻まれて実用化、販売はされず、結局車は道路をタイヤで走っている。
それが10年前。
家庭用ホログラム型モニター開発。映画の中の話だった代物が急激に普及した。
それが6年前。
そう、人類は技術分野においては、確かに目覚ましい進歩を遂げた。
崩壊した東京がどうなったかと言えば、その後勿論、復興した。しかし遷都により、人口は確実に減った。
地価は暴落。ドーナツ化現象とはなんだったのかと、東京のど真ん中に建売団地が乱立した。
今や台風前のビル群と台風後の住宅地が同居する、そんなアンバランスな都市が東京だった。
科学技術が発展した時代。その果てに合ったのは無神だった。
日本人の深層心理にあった深い深い土着的な宗教感すら、失われてしまった。神を畏れ、悟りを志す僧侶に敬意を払う。神の前で婚姻を近い、仏の前であの世への旅路に立つ。それは当たり前すぎて誰も気付かなかった深い信仰心だった。
一見、無神論に見えた日本人という人種は、深すぎる信仰心ゆえに表面的にそう見えていただけだった。かつては。
それが本当の無神論になったのはいつからだろう。技術を得ると共に、人は少しずつ、神を仏を生を死を、捨てていった。
神を畏れないという事の弊害は意外な形で現れた。犯罪の増加である。
罰当たり、という感覚を失った人々は善悪の区別を曖昧にし始めた。所詮、法律など人の心にその程度の存在だったのだ。
神には、叶わなかった。
ジャンル:推理〔文芸〕キーワード: ミステリー サスペンス 近未来 シリアス 男主人公 未来 アンドロイド 最終更新日:2018/05/27 02:39 読了時間:約54分(26,715文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 9 pt ブックマーク: 2件 評価人数: 1 人 評価ポイント: 5 pt |
作者:安藤 兎六羽/作品情報/Nコード:N2235DF
完結済 (全3エピソード) |
平成三十年、春。あるひとりの乗車戦士が埼京線、武蔵浦和駅ホームへと降り立った――。彼は深く思案する。ドーナツ化現象が呼び起こす昼間人口比の隔絶、そして、満員電車に揺られる乗車戦士たちの戦闘について……
ジャンル:ノンジャンル〔ノンジャンル〕キーワード: SF 現代(モダン) ポアンカレ予想 ドーナツ化現象 吊り革 なんちて 夢落ち マイムマイム 短編 埼京線 埼京線?……最強線 ナンセンス ギャグ 最終更新日:2016/03/26 21:00 読了時間:約21分(10,435文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 6 pt ブックマーク: 2件 評価人数: 1 人 評価ポイント: 2 pt |
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