圧倒的な力を有する神と、非力なニンゲンが互いを憎み合う世界。紆余曲折あって両親と別れた半神のラックは、『城の神器』であり幼馴染でもあるアビスとともに旅を始めていた。 幸福でありながらも閉鎖的な生活を城で過ごしてきたラックは、様々なものを知ってみたいという好奇心でただひたすらに行動する。見たことの無い食べ物や、想像もしなかった存在、出来事との遭遇は彼の心を存分に沸き立たせるものだった。 しかし、彼は同時に知ることとなる。 己の無力さと鈍感さを。 「なぁ……アビス。死を悲しめない自分ってさ、変なのかな」 「そう思えるだけラックは正常だよ、きっと」 ーーこれは『無知』な青年が、様々なものを知って成長する物語。