王都ヴァレンシアを襲ったのは、伝説の古竜〈ヴァルグレイ〉。 その炎は防壁を溶かし、騎士団を灰に変え、王国の希望を奪い去った。 絶望の中、最後に立ったのは四人の冒険者〈暁の旅団〉。 だが彼らの剣も魔法も通じず、王都は崩壊寸前にあった。 そんな中、剣士レオンは決断する―― 自らの命を代償に、30秒間だけ限界を超える禁断の術。 「限界突破（リミット・ブレイク）」 それは、命を燃やして奇跡を起こす、刹那の覚醒。 仲間を生かし、王都を救うため、彼は炎の空へと駆けた。 30秒の戦い。 それは、永遠に語り継がれる“英雄の瞬間”となる。

「公爵家の恥」と呼ばれても、私はこの花のドレスで踊りたかった。 貴族の名門に生まれながら、生まれつき脚が不自由で「公爵家の恥」と陰口を叩かれてきた令嬢。 華やかな舞踏会の喧騒から遠ざけられた彼女の唯一の拠り所は、人知れず花を育てる小さな庭園だった。 そこに咲く花で飾られたドレスをまとい、誰かに優しく手を差し伸べられて踊る―― そんな夢を抱き続ける彼女の前に、ある青年が現れる。 周囲の圧力に押し潰されそうになりながらも、想いを通わせ、秘密の計画に踏み出す二人。 けれど、その儚い希望を揺るがす大きな試練が迫るとき、夕暮れの庭で咲く一瞬の奇跡が、静かに彼女の運命を変えていく。 ※この作品は「カクヨム」にも掲載しています。

　すずらんの香り。 　俺の前に現れたその匂いは、過去の記憶と共に訪れた一瞬の奇跡だった。

窮状に明け暮れる男を救った一瞬の奇跡。 辛い現実と、それと戦う勇気をくれる希望を抱ける掌編。

勇気という魔法だけじゃ前に踏み出せない。そう、俺に必要なのはクリスマスという日とこのガラス細工。たった一夜の、一瞬の奇跡を甘酸っぱく描いた短編。