かつて魔界繁栄に貢献しながら、忌むべき人間と親交を深めようとした大罪人──ゼスティアル・カオス・ゲート。彼は約５００年の時を経て、突如として釈放される。その理由とは魔界の危機を救ってほしいという当代魔王の願いによるものだった。 　魔人が生きるために必要とする魔素。それは彼らの棲み処──魔界にはなく人間界にのみ存在する。ゆえに魔人は人間界の地底と呼ばれる場所に【迷宮】を築き、その入口を地上に造ることで魔素を得ていた。 　対する人間は魔人の心臓から強大な力を得られるものとしり、【迷宮】に侵攻を開始。討伐によって得た魔人の心臓を【聖石】へと変え、【不滅の力】を得た。以来、人間による魔人の駆逐が始まり、人間界から【迷宮】が激減。魔素の供給源を失った魔人もまた急激に数を減らしていったという。 　事情を知ったカオスは当代魔王からの依頼を引き受けることにした。１つは自らも愛する魔界のために。そしてもう１つは人間たちを【不滅の力】のないか弱くてカワイイ元の姿へと戻すために──。

「おめでとうございます！　この度、あなた様は『人間大使』に選ばれました！」 　“黒眼鏡”と“チビ”だけが特徴の平凡な大学生・渡辺は、ある日自宅の部屋に舞い降りてきた悪魔の少女・パパイア＝パーパイヤにそう告げられた。 　なんでも、この世界には『人間界』と『人外界』が存在し、自分は人間と親睦を深めて交流しようとやってきた人外界代表の『人外大使』だと言う。さらに、人外は『人間界』のことを勉強するため、毎晩人気のない夜中になると人間の学校にやって来るのだとか。 　パパイアは、そんな人外たちの見本になってくれるよう、渡辺を説得するのだが……。

三人の娘と二人の男の国境と身分、領域さえ超えてしまう、はかなく美しくありながらも、それぞれの運命のために命をかけて生きる男女の物語…。