私には好きなゲームがある。それがドット絵のRPG。ストーリーが面白いのはもちろんのこと登場人物が好きで何度もプレイした。私が一番好きなキャラは主人公を守るために悪役を演じ、五十二歳でその人生に幕を閉じてしまう人。 　私はその人が本当に好きで、どうにか誤解されまま亡くなってしまうのを回避できないかとあれこれゲーム内で試行錯誤したけど駄目だった。あわよくば生き残って主人公たちと一緒に平和に暮らしてほしいと思っていたのに。残念ながら、必ず決められたストーリーに沿って彼は亡くなってしまう。 　結局、ゲームをプレイして救うことはできなかった。 　だけどまさかの転生で私の願いが叶うチャンスがやってきた。もうこれは救ってもいいということだろう、と解釈し私はそのときのために備えに備えましたとも。 　これは私が彼を救うお話ではなく、救い終わったあとのお話。