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作者:守尾八十八/作品情報/Nコード:N5987HT
完結済 (全58エピソード) |
地方紙『県民タイムス』記者で警察クラブキャップの鍛冶俊作は、沈没を予知したネズミが船から逃げ出すように同僚が続々と大手紙へステップアップしていくのに遅れを取り、好ましくない経歴のせいもあって、劣悪な待遇の職場で馬齢を重ねている。その経歴に新人記者の剣城早苗が関心を持ち、鍛冶に付きまとうようになる。
早苗と同期入社で唯一の手下、栗坂と共に、鍛冶はライバル各社との取材、報道合戦に明け暮れる。会社の指名で、役立たずながら早苗が応援に入る。早苗は、かつて鍛冶が暴いたまま尻切れトンボ状態になっている、警察官が貸与される拳銃にまつわる不祥事の企画記事に関心を示す。鍛冶の手柄話を聴きたがる。自身の打ち明け話もする。
そんな中、早苗が市政ネタでスクープを放つ。しかし、市役所は鍛冶や早苗が所属する社会部ではなく、部長同士が犬猿の仲の政経部のテリトリーだ。早苗は両部の醜いセクショナリズムと上層部の権力抗争に巻き込まれ、鍛冶の援護もむなしくネタをつぶされる。それだけではない。社会部長より一つ職位を上げた政経部長の意により、市政、県政両記者クラブを混乱させた懲罰として不当な異動命令が下される。
一切の非は早苗にはない。政経部の縄張りを破ってもいない。ネタをつかんだ時点で市政クラブキャップに相談を図り、原稿を見せ指示を仰いでいる。政経部長の昇格を阻止するために社会部長が早苗の記事と名前を利用したことが、裏目に出たのだ。
失意の果て会社を辞め家族の待つ東京に帰る選択に傾いていた早苗の心の振り子を揺り戻したのは、鍛冶だった。鍛冶は生涯そのことを悔やまなければならない。異動先の早苗を危険にさらしてしまう。早苗は重大な犯罪被害に見舞われる。鍛冶の目の前で凶弾に倒れる。それはまるで、鍛冶がかつて書きなぐったことに対する銃器によるあだ討ちか腹いせのようでもあった。
記者として仕事を全うするために、早苗は撃たれた。鍛冶は事件取材のベテランだというのに、しかも早苗のすぐそばに付いていたというのに被弾を防げなかった。早苗を守れなかった。同僚や他メディアが、鍛冶の落ち度を批判する。狭あいな功名心が早苗を追い詰めたのだと糾弾する。
ところが、事件で警察は大きなミスを犯していた。警察は警察で、因縁のセクショナリズムに支配されていた。40年かかる大事業に失敗し、世代が断絶してしまったのだ。
ジャンル:推理〔文芸〕キーワード: ロシアンルーレット S&Wとコルトと時計 リボルバーとオートマ SIG230日本仕様 ニューナンブとサクラ SPミッション逸脱 スラッグ弾はね返せぬ 人間万事塞翁が丙午 拝命グリコ・森永事件 駐在所でメンテ不可能 取材0.9ミリ製図用 MoonPhases ポッキーと旧ハチロク 剣はペンより鉄砲鍛冶 ESN大賞5 最終更新日:2023/07/17 23:00 読了時間:約472分(235,545文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 26 pt ブックマーク: 3件 評価人数: 2 人 評価ポイント: 20 pt |
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