穴熊凛太朗（２６）は、都内にある家具・インテリア用品を販売する小売店の店舗で働く会社員だったが、度重なる遅刻が原因でクビになってしまう。学生時代から寝坊に悩まされていた凛太朗は、これを機に自分の体質を調べてみることにした。すると、【ロングスリーパー】という特殊な体質であることが判明。ネットや書籍で調べたところ、その対策のひとつとして寝具に拘ることが挙げられていた。言われてみれば、会社員時代の昼休み、自社家具が整備された休憩室で仮眠を取っていた頃は、短い睡眠時間でもしっかり疲れが取れていたことを思い出す。医者の不養生とはこのことだと笑いつつ、体質と向き合いながら人生をやり直すことを決意したものの、原因不明で意識を失いそのまま死亡してしまう。「まぁいいか。これでゆっくり眠れる」と思う凛太朗だったが、目覚めたら異世界の貧乏農家の五男のロイドとして転生してしまっていた。　 　転生した異世界には、睡眠に拘るという文化が無く、もちろん寝具専門店のような店もない。使っている布団も、よくわからない生地に乾燥させた草をつめたようなもの。「こんな寝具じゃゆっくり寝られない」と、前世の知識と魔法を使い、枕やベッド等の家具をはじめ、食事、空調やお香からお酒まで、睡眠に関わるものを片っ端から改善していくロイド。 　そんな中、試作したロイドお手製の枕を掴んで離さない子どもドラゴンに懐かれたことをきっかけに、寝具の素材を求めて冒険に出ることを思いついたロイドは、高ランクの魔物を討伐しまくり、急激に冒険者ランクを上げる。そんなロイドは、次第に世間の注目を集め出す。最高の素材を求めて冒険に出かける合間も、冒険者ギルドから冒険者の睡眠対策を依頼されたり、王女様に特注ベッドを気に入られ、王家御用達の商人として名を上げたり。何かと忙しい日々に、「みんなが僕を寝かせてくれない！」と涙目になるロイドなのであった。 　これは、睡眠に拘りをもつ、ぐうたらと呼ばれた元ニートが、最高の睡眠を目指し異世界で奮闘する物語。 ✓山なし谷なしほのぼのストーリーです ✓オリジナルのファンタジー世界のお話です。頭空っぽでお読みください ✓評価、ブクマ、いいね、誤字報告大歓迎です！ ✓作者はメンタル豆腐なので、感想はお手柔らかにお願いします

　玄人よ、素人を侮ることなかれ。