登場シーンのオノマトペはこれ！

　階段に腰を下ろしてぼんやりしていると、湖畔で釣りをしているような気分になってきた。試しに釣り竿を持つように手を構えてみると、目の前に湖が浮かび、釣り糸の周りに小さな波紋が広がった。それを眺めていると、自然と心が落ち着いてきた。 　……しかし、突然、激しく糸が揺れ始めた。魚か？　いや、違う。誰かが来たのだ。二度目のインターホンで完全に我に返ったおれは、立ち上がり玄関に向かった。 「あ、こんばんは……」 「どうも、こんばんは。電話を受けて来ました。私はイワミです。こっちはキシヌマです」 「どうも、キシヌマです」

　人生という舞台は。その動静・起伏はあろうとも、死ぬまで続くのだ。 　ならば喜劇も、悲劇も。 　ひるむことなく、演じあげる千両役者たれ。

　戦国時代の武将の名前を借りた社会人野球がテーマの小説。(全12章　全99話) 　登場人物は繋がっていますが、オムニバス形式なのでどの章から読んでも楽しめます。 　気の弱い会社員、明智光秀(32歳)が社長の無茶な提案で社会人野球部を作ることに。 「人気を出すために強いチームを作れ」という指令だが、できてすらないチームに集まるわけもなく、悪戦苦闘の末集まったのは一癖も二癖もある選手ばかりだった。 　怪我の後遺症で制限がある元大学野球エース投手。ある条件で震えが止まらなくなる元メジャーリーガー。ヤクザを父に持つアーティスト気取りのヤンキー。誰にも屈せず喧嘩ばかりした結果会社を辞めさせられた男。 　一度は野球人生をドロップアウトした彼らが、もう一度再起するまでのストーリーが詰まっています。 　夢を諦める時は一体いつなのか。本当に大切なものは何か。 　実際にはないだろうなと思いながらも、あればいいなと思えるヒューマンドラマ。 　野球に興味がなくても楽しめるポジティブな内容になっているので、心が塞いだとき、ほんの息抜きのつもりで読んでいただければ幸いです。 第一章　赤い髪のスピードスター 第二章　球界の千両役者 第三章　鳥なき島の引っ張り屋 第四章　計算高き曲者 第五章　居場所を失くした匠 第六章　天才と呼ばれた野良犬 第七章　光を目指す渡鳥 第八章　壊れた硝子細工の貴公子　前編 第九章　壊れた硝子細工の貴公子　後編 第十章　乾坤一擲の大勝負 第十一章　不屈の燃える豪速球 最終章　一欠片のケーキ 　合言葉はa piece of cake!(楽勝だぜ!) この作品は「https://estar.jp/novels/25812332」にも掲載しています。

　食卓で、大活躍の大根。 「大根役者」なんて称号は、似合わない?!