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作者:齋藤 一明/作品情報/Nコード:N0406CL
短編 |
合掌造りの古風な家には、四代にわたる家族が住んでいる。
大晦日の今日は、囲炉裏の周囲に布団を敷き詰めて皆が枕を共にする慣わしだった。
家族とともに夜明かしすら許される大晦日は、一番年下の椛にとって、年に一度の楽しい行事なのだ。
夜が更けて、眠りを促す祖母に椛は昔話をねだった。
困惑げな祖母に代わり、曾祖母が話をすることにした。
「雪うさぎ」の話を望んだのに、曾祖母はなぜか「雪女」の話を始める。しかも、子供をおいて山へ姿を消した、その後の物語だった。
妹の椛、姉の楓、そして曾祖母の三人は頭から布団をかむり、真っ暗な中で話に引き込まれていった。
話が終わったとき、曾祖母の双眸が赤く光っていた。
姉の楓がギラギラと、妹の椛も淡いピンクの光を放っている。
二人の娘が初めて目を光らせたのだ。
それは、二人の由来を示しているのだが、それを証明するように母も祖母も赤く光る目をしていた。
神棚の横に納めた鏡を覗けば先祖に会える。
照明を落とした室内に、五対の赤い光が蛍のように乱れ飛ぶ大晦日の夜だった。
ジャンル:純文学〔文芸〕キーワード: 法螺會の第4回課題 昔話 雪女 光る目 合掌の里 大晦日 鏡 江戸時代 最終更新日:2014/12/21 09:28 読了時間:約12分(5,747文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 78 pt ブックマーク: 5件 評価人数: 8 人 評価ポイント: 68 pt |
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