最後に名前を変えるきっかけになったのは、所属しているチームで自分だけハブられていたからだった。 そっちがその気ならもうそれでいい。 こっちは姿も名前も変えて別人になってやる。それでまたこの世界を楽しめばいいんだ。 さあ、真っ白なスタートをもう一度切ろう。 少年がVRMMO・ウルスラインオンラインの有料公式サービス、一回1，800円のアバター名変更手続きを申請したのはこれで通算100回目。 クロノと名前を変えてそれまでの人間関係を全て切り捨て、また意気揚々とゲームの世界に戻った直後、後に「大厄震」と呼ばれるプレイヤーたちをゲーム世界の中に閉じ込める大異変が襲った。 「ログアウトできないってことは…………つまり、もう二度と名前を変えられないってことじゃないか！」 異変で帰られなくなったことよりなにより、クロノが絶望したのはその事実に対してだった。 そして少女ヒメリも、大厄震に巻き込まれた不憫なプレイヤーの一人だった。 まだ初心者だったヒメリは一人で街の外を移動しているときにビヨンドモンスターと遭遇するが、その危機をクロノに助けられたことで二人の縁は繋がる。 クロノのクソ生意気な態度に翻弄されつつも、少しずつ広がっていくヒメリの世界と人脈。そして、大厄震の秘密。 世界を変えたと推測されている謎の存在　“観測者Ｘ” そして世界の改編を止めるとされる　“グレート・ウォール” とまあ、ベテランプレイヤーのアリスから世界の異変の謎を帯びる言葉を聞かされるものの、レベルが低いヒメリには何もできることがない。 世界の謎解きはひとまずベテランたちにお任せするとして、ヒメリはまず生きていけるだけの技術と知識を得ようとクロノに手ほどきを受けることに。 ゆったりスローライフ的に戦う練習をしながら、この世界を生き延びる。 ヒメリがそう決意したと思いきや、行く先々で出会うのはクロノの過去の名前と当時彼とパーティを組んでいた仲間や因縁のある相手たち。 思わぬ繫がりからヒメリもとある事件に協力することになり…………。 クロノの過去の因縁が二人に困難をもたらし、彼らがそれを打ち破ったとき、また一つ、英雄譚がウルスラインの世界に刻まれていく。 ※ちょい名前いじり注意

「君ってさ、私のことだけ名前で呼ぶよね。どうして？」 高校二年生の君野は、片想いしている吹奏楽部の先輩と二人きりの幸せな部活時間を過ごしていた。 いつもの取り止めのないお喋りの中で、ふとそんなことを尋ねられて……。 「他の子のことはみんな苗字呼びなのに、どうして私だけ下の名前なの？」 大胆な猛アピールをし続けていると誤解されて、でもその気持ちは誤解ではなくて。 誤解と言葉遊びが転じた、高校生の不器用な恋愛短編。 恋愛要素よりヒロインの名前いじりがメインのお話です。 ※他サイト（カクヨム・ノベルアッププラス・アルファポリス）でも掲載。

　モテたい！ 　ハーレムを作りたい！ 　そんな発想から、瀬奈はとあるウイルスを開発する。 　そのウイルスは「男を女体化させる」というものだった。 　これで自分以外の男性を女性にすれば、確実にハーレムが完成するはず！ 　しかし、瀬奈の開発したウイルスはとんでもない不良品だった！ 　なにせ自分だけが女体化することになったのだから――。 ※本作は「ノベルアップ＋」様にも公開しています