帝国歴XXX年。 大陸最強の大帝国・アグレイア帝国に、“すべてを宿す子”が生まれた。 その名は、アルヴィス・エルンスト。 基礎八属性に加え、空間・精神・時間・創造――あらゆる魔素に共鳴する“祝福の子”。 魔法とは意志であり、感情であり、世界そのもの。 幼くしてそれを悟った少年は、前世で孤独に死した天才の記憶を胸に、再び魔法の真理を歩み始める。 やがて結ばれる、第三皇女との政略的な婚約。 天才の一族エルンスト家と、帝国の宝石リシェルティア・アグレイア―― その結びつきは、帝国の静寂を揺るがす火種となるのか。 魔導学院、魔物との邂逅、皇帝との対話、そして世界の歪みへ―― “祝福”とは本当に救いなのか？ “力”とは何のためにあるのか？ 冷酷に、優しく、強く―― 孤高ではなく、“敬われる”王たる魔導の歩みが今、始まる。

貴族の令嬢として完璧な振る舞いを求められる少女、リリス・アークフェイン。 紫の瞳を持つ彼女は、名門アトレイア魔術学園の新入生として誰もが一目置く存在だった。 だがその本性は──優雅な微笑みの裏で冷静に状況を見極める、孤高の戦略家。 その仮面の奥にあるのは、誰にも心を許さず、誰にも頼らぬ強さ。 そんな彼女の前に現れたのは、灰色の髪を持つ気弱な編入生、ユウ・シェリス。 年上でありながらも頼りなげな彼は、リリスにとって関心の外にある存在… ──のはずだった。 「僕は、あなたの力を信じたいと思ったんです」 奇妙な“共鳴”を引き起こした二人は、やがて運命の渦に巻き込まれてゆく。 これは、魔術と共感、仮面と素顔、そして孤独と絆が交差する、少年と少女の戦いの物語。 心を重ねるたび、世界が変わる。 偽りの微笑の奥に秘めた、真の魔術が今、目覚める──。