「メーロ＝アクメーワックル！　お前との婚約を破棄することを、この場で宣言するッ！」 　王子は鋭い声で侯爵令嬢に告げた。 「まあ！　どうしてなんですの？」 「どうしてだと？　実に白々しいッ！　婚約者としての地位を悪用し、気に入らない者に対して罪をでっち上げて追放する一方で、何人もの若い貴族と豪遊し、賭博のために国費を不正に横流ししていたなど、多くの犯罪に加担していただろうが！　いくつかは既に証拠も押さえてある！　言い逃れは出来ないぞ！」 「そんなっ！」 「明らかに令嬢側に非がある婚約破棄は、むしろめずらしい気がする」 　王子の横で、あなたはつぶやく。 「あっ、アナタはっ、――その女にそそのかされたんですわっ！」 　悪役令嬢メーロはあなたを強く指差す。 「都合が悪くなると他人への非難でごまかすか……。やはり婚約破棄をして正解だったな。いや、貴様の本性に気づいて、最初から婚約を拒絶するべきだった。――この女性は、私を救ってくれた恩人だ！　彼女に対する無礼は私が絶対に許さないッ！」 　王子の怒りをさらに買い、悪役令嬢は苦境に立たされる。 「皆様っ！　そっ、その男はッ、王子などでは断じてありませんっ！　王子の皮をかぶった偽者ですわ！　私の究極の禁断魔法が解けることなど、あり得ないのですからっ！」 「あの魔法をかけたの、ホントにこの人なんだ……」 　あなたは再びつぶやいた。 「アナタ達っ！　王子を取り押さえなさいっ！　生死は問いませんわッ！」 「わぁ……やっぱり王子だって分かってるじゃん……」 　部下の兵士に命令する悪役令嬢を見て、あなたは呆れてしまう。 　こうして王子と元婚約者、双方の陣営による激しい争いが始まった。 　戦場と化した城内の大広間にいても、あなたは冷静でいられる。何故なら、あなたには誰よりも頼りになる、最強の防御スキルがあるのだから。 　これは、あなたが美少女管理人とともに異世界で生き残るための逃亡劇である。 ※セーラー服を着たヒロインがミニスカートをたくし上げて、お尻と白い下着を見せ続ける描写があります。