アリアは、妹の子供（クロノス）を引き取り自身の後継者として育てている。そんな彼女の夫であるエデルは、妹に頼まれて彼女の子供を連れて来てくれたお人好しの青年だった。 エデルは元々、各地を旅する吟遊詩人だったが、アリアと結婚したことで辺境の地に留まり、忙しい中でもエデルとクロノスのことを気にかけてくれるアリアにどんどんと惹かれていき、アリアのために自分が出来ることを精一杯やろうと決意していた。 アリアは最初からエデルに惹かれていたが、エデルがいつか自由になりたいと願ったらその関係性を解消するために、白い結婚のままでいるつもりだったが、結婚式を挙げることになり、二人の関係はどんどんと進んでいくことになるのだった。そしてエデルには、自身も知らない秘密があって……。 温かい目で見守っている周囲の女性陣と、そんな彼女たちの理想が辺境伯（女帝）と知って戦々恐々とする男性陣。王都の皇帝や王子たちの思惑も入り乱れ、エデルはその渦の中心に巻き込まれていくのだが、そんな彼を助けてくれるのは、いつだって格好良い妻だった。 辺境の女帝と呼ばれる男装の麗人と天然の人タラシで女装が似合う吟遊詩人が繰り広げる辺境伯一家の物語です。 夫婦ですが、この二人は清らかな関係です。が、結婚式の後からちょっと怪しくなってまいりました。 短編の「夫と息子が引き取られたら猛獣使いのあだ名が付いた」の続きになりますので、先にそちらをご覧ください。 アリアとエデルが、正式に会う前の一夜を書いた番外編もあります。