忘れられた場所、誰かの物語 同ネームにて「カクヨム」にも投稿しています。

夏休みの宿題として、地元の伝承を調べることになった高校生・斎藤は、家の蔵で見つけた古い地図に「楢尾温泉」の名前を見つける。しかし家族を含め、誰に聞いてもその温泉を知る者はいなかった。再び蔵を探る中、斎藤は「楢尾温泉 宿泊名簿」と書かれた古びた一冊を発見する。それは1925年から続く、誰にも知られずに眠っていた記憶の書だった。最後のページに記された名前――それは斎藤の名前。そして、かすれた短歌がそっと綴られていた。「名簿ひらけば　また逢えるかも」。名簿を携え、斎藤は“記憶から消えた温泉”の終着バス停へ向かう。

謎の現象、失色症《カラレス》。誰かの家、どこかの信号、あの人の車、みんなの遊具、懐かしい学校、街のあらゆるものが、まるで自分の色を忘れてしまったかのように、少しずつ少しずつ色を失っていき見えなくなってしまう。街の人々は騒いだ。慌てふためいた。けれど時間が経つと声は段々と小さくなっていった。全ての色が消え見えなくなったモノたちは忘れられてしまったから。 街は刻々と色を失っている。そこに生きる者たちからは、断片的に記憶が抜け落ちていく。 どうして街の色が消えていくのか。どうすれば元に戻るのか。 誰もがあの頃に戻りたいと願う中、その一方で他人の家の犬と遊び惚ける青年がいた。その犬の飼い主の女子高生、迷子の少女、高身長の変人青年、その変人の彼女と、出会いを重ねるごとに感じていく青年自身の違和感。 覚えのない友人たち、自身を忘れられた場所、記憶が混濁していく中で脳裏によぎる花の姿。その花を抱えた彼女は誰なのか。 これは、失くした色を取り戻す全てのモノの物語。

世界が荒れ果て変貌を遂げよう共、愛だけは決して変わらない……。 今から約二〇〇年前、世界中を襲った禍災の大浪(かさいのおおなみ)と呼ばれる大災害。 それは突如として多くの命を奪い去り、自然豊かな大地を荒廃させた。 時は走り、季節は巡る……そんな荒廃した終末の世界でのんびりと気ままに暮らす者達が居た。 その者達は【忘却の土地】と呼ばれる【死】そのものからも忘れられた場所で悠々自適に暮らす【魔女】と【妖精】のふたり。 彼女達が今日もまた、終末の世界でふたり、仲良く自由気ままに暮らす。 時折訪れる客人達とのんびりとした悠久の時を過ごして……。 これは愛する事を忘れない、人々の日常と非日常の狭間で綴られる物語である。

ほかの人とは見た目の違う女の子が追い出される話です。

君とふたたび出会ったのは、時間に置き忘れられた場所