私、周愛玲は失恋の痛手を癒す為に妻子ある男、斉田医師とカナダへ感傷旅行に出かけた。その感傷旅行から戻ると、私は精神的にスッキリした。両親と芳美姉から提案のあった中国２号店の計画を、中国の春麗姉や樹林と推し進め、倉田社長にも、その協力をお願いした。そんな中、学友、渡辺純子と平林光男の結婚式に工藤正雄と再会し、心が揺れる。中道係長も時々、私を誘う。倉田社長は台湾への輸出で苦悩するが、私を中国に連れて行き、２号店の計画を実行させようと協力してくれる。欲張りの私は、男たちの欲望に振り回され、あっちへ行ったり、こっちへ行ったり。こんなことをしていて、私の未来は果たして定まってくれるのでしょうか。

私、周愛玲は大学時代からの恋人、工藤正雄に振られてしまった。幸い中国から両親が来日していたので、そのショックや憂さは軽傷だった。私は正雄に振られたこともあってか、『日輪商事』の中道係長と付合ったりした。しかし私を雇用している倉田社長は、それを快く思わなかった。私は、その為、来日中の両親と芳美姉から提案のあった中国のアパレル２号店計画の支援を、倉田社長に明確に伝えられなかった。でも私は次への挑戦を開始することにした。両親が中国に帰ると、急に別れた正雄への思いが蘇り、私を苦しめた。そんな時、付合っている妻子ある男性、斉田医師からカナダ旅行に誘われ、感傷旅行に出かけようかと考えるが・・・。

五十五歳の男。三十二年振りに、メキシコのパレンケ遺跡を娘と訪れた。かつて、その男は恋人との葛藤 に疲れ、この遺跡で自死しようと思っていた。しかし、死ぬことができず、恋人に精一杯の思いを伝えよ うと決意して、この遺跡を去った。その後、恋人と結ばれたが、娘が成人した時、妻は急死してしまった。今回、娘と共に、思い出のパレンケ遺跡を訪れ、男は感傷に浸る。娘はこの旅行の後、結婚する相手 を紹介すると言い、この男は子会社に出向することを承諾しようとしている。メキシコのマヤの遺跡で、 パレンケは独特の優雅な佇まいを見せる美しい遺跡である。その遺跡を背景にした、この物語を可能な限り情感豊かに仕立てたつもりだが、さて、どんなものだろうか。