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作者:Tom Eny/作品情報/Nコード:N2004LC
短編 |
俺の名前はヒロト。埃っぽいライブハウスで、誰にも届かない歌を叫び続けている。かつて伝説のロックスターだった師匠のケンジは、俺の才能を誰よりも信じてくれた。それでも、俺はブレイクできなかった。
そんなある日、テレビ画面に映る同い年のミュージシャン、ナツキを見た。彼は、大物プロデューサーのコネで成功した「偽物」だと、俺は激しく嫉妬した。自分の歌が届かないのは、ナツキのような存在が邪魔をしているからだと、そう信じていた。
沸々と煮え滾る不公平感を師匠にぶつけると、彼は静かに言った。「お前の実力があるなら、使えるものは使え。俺の名前でも、踏み台にしてくれていい」。その言葉は、俺が頑なに守り続けてきた「孤高のプライド」を打ち砕いた。悔しくて、情けなくて、胸の中でガラス細工のように精巧だったプライドが音を立てて砕け散るのを感じた。
だが、師匠の言葉の真意は、俺の才能を信じているからこそ、この世界に埋もれさせてはいけないという、深い愛情だった。俺は、初めて他者の助けを受け入れることを決意する。
師匠の名前を借りて、俺は再びテレビの舞台に立った。一部からは「ごり押し」と囁かれたが、もう迷いはなかった。この歌は、俺の全てだ。報われない苛立ち、親への反骨心、そして師匠への感謝。すべてを音に乗せ、心の底から歌い上げた。
歌い終わった後、会場は静寂に包まれ、やがて大きな拍手が巻き起こった。それは、師匠の名前への拍手ではなく、俺自身への拍手だった。熱狂が広がる中、俺はライブハウスでナツキと再会する。「……参ったよ」、彼のその一言が、俺の才能を認めてくれた最高の賛辞だった。
ライブハウスの暗闇は、もう怖くない。踏み台は、誰かのために用意されたレールではない。自分の力で、さらに高く跳ぶための、最初のジャンプ台なのだ。これは、一度すべてを失った男が、本当の「自分の歌」で、未来を切り拓いていく物語だ。
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕キーワード: ESN大賞9 シリアス 男主人公 現代 職業もの 群像劇 日常 ハッピーエンド 青春 ホームドラマ 文芸 成長 音楽 挫折からの再起 最終更新日:2025/09/19 19:09 読了時間:約4分(1,849文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:酒月 河須(さかづき かわす)/作品情報/Nコード:N8353IF
連載中 (全47エピソード) |
異世界『ユニヴァース』
それは、『地球』とは異なる惑星に、異なる生態系。
その世界に住む人類は『魔法』と『知性』をもって生きてきた。
しかし、人類は滅亡の危機に瀕するような『厄災』に幾度も遭遇した。
そんな『厄災』という人類の危機には『勇者』が現れて、世界を救い続けた。
彼らは共通して『ユニヴァース』とは異なる世界、『地球』という惑星から
やってくるのであった。
『7代目勇者』として『ユニヴァース』に異世界転移してきたのは、
新山律(にいやま りつ)、25歳の青年であった。
『地球』という惑星の『日本』という国に住んでいた平凡な青年。
何者でもなかった青年は『7代目勇者』として一歩を踏み始めるのだが……。
挫折からの再起と、彼を支える相棒の『ブライ』とともに『厄災』へと立ち向かう!
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕キーワード: R15 異世界転移 オリジナル戦記 ヒーロー 冒険 男主人公 魔法 ハッピーエンド 勇者 相棒 最終更新日:2023/07/14 22:00 読了時間:約220分(109,704文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 4 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 1 人 評価ポイント: 4 pt |
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