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作者:mannboo5/作品情報/Nコード:N6211KT
連載中 (全1エピソード) |
仄命子を視たあと、視界は変質した。
もはや「外界を視るための視覚」ではなく、
視覚の記憶だけが濁った膜のように世界に残っている──
言葉は消え、名の輪郭も失われていくなか、
視界の奥からある“音の断片”が浮かび上がる。
それは「ノ……エ……」という、
まだ呼ばれていない名の前駆的な響き。
誰も呼んでいないのに、誰かが呼びかけた気がする。
誰にも届いていないのに、どこかの記憶に触れた気がする。
ノエル──
それは、名でも記憶でもなく、
ただ「意味が崩壊したあとに残された音」だった。
世界は、仄命子の影に濡れながら、
ノエルという音に滲んでいく。
光が濁るとき、視線は祈りに似たものへと変質していく。
その祈りもまた、名を持たぬ存在の静かな残響にすぎなかった。
ジャンル:ローファンタジー〔ファンタジー〕キーワード: 新人投稿(全10話) 最終更新日:2025/07/14 11:44 読了時間:約2分(710文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
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