森で全裸の青年を拾った。 「それってつまり……異世界転移ってこと？」 　……が、訳の分からないことを言っている。 　“世界に希望の光を”がモットーなキャラバン〈ブライト〉。シャーリィ・ステルラは、日々雑用の仕事に明け暮れている下っ端の女の子。ひょんなことから裸の青年を拾ってしまった。 　彼は伝説の転移者か、それともただの記憶喪失か。 　青年が何者なのかを知るため、キャラバン〈ブライト〉は一時的に青年を保護することに。シャーリィは、歳が近いからという適当な理由で彼の世話係に任命されてしまった。 　好奇心旺盛でハイテンションな異世界人（？）を仲間に加え、商売したり、魔法の訓練をしたり、たまに覚醒したりしながら、今日も世界を希望の光で満たすための旅路は続く。 　その旅の先に待ち受ける、誰も知り得なかった二つの世界の真実とは。 　そして、シャーリィに秘めれた特別な力とは――

　この世界には神が人に与えた神器があった。 　魔王を倒すための3つの神器。勇者の聖剣、聖女の杖、賢者の魔導書だった。 　それらの神器は使い手を選ぶと言われていた。 　主人公のシアンは、そんな神器に選ばれた幼なじみ達の勇者パーティに入っていたが、シアンだけは選ばれておらず、しかもジョブは無職とまで馬鹿にされるほど弱いジョブ。 　そしてある日無能の烙印を押されて追放される。 　しかしその日の夜酒を飲んでいたら前世の記憶を思い出した。 「あ、このジョブ、ゲームだと時間はかかるけどこんな小技あるんだ」 　そうして試しに特訓してみたシアン。 　すると見事に小技はこの世界でも可能だった。 　調子に乗ったシアンはどんどんその小技を繰り返して、みるみる強くなっていく。 　そして神器達の所有権はシアンに移ってしまう。 　勇者の使う剣も聖女の使う杖も賢者の使う魔導書も全て使えなくなっており、魔王討伐どころではなくなって、魔王軍に蹂躙されて人間の領地はどんどん減っていく。 　一方その頃中身はおっさんである主人公のシアンは新たな土地で、美少女と共に毎日を日曜日にするための準備に入っていた。 　そしてそのせいで世界はどんどんと乱れていき。 　勇者達がシアンに与えてはいけないのが膨大な時間だということを理解したときにはもう遅かった。 　これは1人の無職が夏休みを終わらせないために好き勝手やって無自覚に世界を振り回す物語。 　無職の終わらない夏休みが始まる。