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作者:はと/作品情報/Nコード:N6268KO
短編 |
吾輩わがはいは猫である。名前はまだ無い。
どこで生れたかとんと見当けんとうがつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で一番獰悪どうあくな種族であったそうだ。この書生というのは時々我々を捕つかまえて煮にて食うという話である。しかしその当時は何という考もなかったから別段恐しいとも思わなかった。ただ彼の掌てのひらに載せられてスーと持ち上げられた時何だかフワフワした感じがあったばかりである。掌の上で少し落ちついて書生の顔を見たのがいわゆる人間というものの見始みはじめであろう。この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。第一毛をもって装飾されべきはずの顔がつるつるしてまるで薬缶やかんだ。その後ご猫にもだいぶ逢あったがこんな片輪かたわには一度も出会でくわした事がない。のみならず顔の真中があまりに突起している。そうしてその穴の中から時々ぷうぷうと煙けむりを吹く。どうも咽むせぽくて実に弱った。これが人間の飲む煙草たばこというものである事はようやくこの頃知った。
この書生の掌の裏うちでしばらくはよい心持に坐っておったが、しばらくすると非常な速力で運転し始めた。書生が動くのか自分だけが動くのか分らないが無暗むやみに眼が廻る。胸が悪くなる。到底とうてい助からないと思っていると、どさりと音がして眼から火が出た。それまでは記憶しているがあとは何の事やらいくら考え出そうとしても分らない。
ふと気が付いて見ると書生はいない。たくさんおった兄弟が一疋ぴきも見えぬ。肝心かんじんの母親さえ姿を隠してしまった。その上今いままでの所とは違って無暗むやみに明るい。眼を明いていられぬくらいだ。はてな何でも容子ようすがおかしいと、のそのそ這はい出して見ると非常に痛い。吾輩は藁わらの上から急に笹原の中へ棄てられたのである。
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕キーワード: 最終更新日:2025/06/03 17:40 読了時間:約2分(809文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:蝶知 アワセ/作品情報/Nコード:N9724GW
連載中 (全2エピソード) |
天下人、豊臣秀吉の発した刀狩令により、侍以外の者は武器を持つことを禁じられていた。
それにより人々は牙を抜かれ、秀吉の言いなりにならざるを得なくなっていた。
一人の流浪人がいた――名は龍牙(りゅうが)。
彼の者こそ、再び人々に牙を戻さんとする、天下人への反逆者である。
龍牙は堆(つい)の里を訪れる。
堆の里は秀吉の配下がおり、彼等によって統治されている。
ゆえに武人は侍のみ、村人は武器を持つことを固く禁じられていた。
そこで龍牙は一人の少女――武蔵(むさし)と出会う。
武蔵は現状に納得がいかず、刀を持ち、剣術を極めんことを切に願っていた。
里に滞在することに決めた龍牙の元を武蔵は何度も訪ね、自身に剣術を教えてくれと頼みこむ。
龍牙は武蔵のやる気を見極めた後、彼女を弟子にすることを決める。
武蔵の刀を用意すべく、龍牙は里唯一の鍛冶屋である、泉一郎(せんいちろう)の元を訪ねる。
泉一郎は最初、刀を打つことを渋っていたが、龍牙の再三の説得により最後は承諾した。
龍牙は秀吉の配下に秘密で武蔵の特訓を続ける。
そんな中、突如里を妖怪・片輪車の群れが襲った。
秀吉の配下は恐れおののき、里の者を置いて逃げ出す。
龍牙は武蔵と共に片輪車に挑み、追い返すことに成功する。
その光景を配下に見られ、秀吉に逆らう不届き者として、拘束されそうになる。
龍牙と武蔵は抗戦に出たことで、堆の里の者全員が反逆者とされてしまう。
里に軍を率いて攻めてくる――配下はそう言い残し去っていく。
村人は絶望し、武蔵を責め立てるが、龍牙と泉一郎に説かれ、考えを改める。
今こそ一致団結し、窮屈な支配から脱するべき時が来たのだと――。
龍牙の指導のもと、里の者達は牙を取り戻す。
かくして秀吉の配下と、堆の里の者による戦が幕を開ける。
戦力差は歴然としており、秀吉の配下が有利だった。
しかし里の者達の奮闘、様々な要因が重なり、勝利を収めることができたのだった。
ジャンル:アクション〔文芸〕キーワード: R15 残酷な描写あり 時代小説 ヒーロー ネット小説大賞九 キネノベ大賞2 集英社小説大賞2 HJ2021 OVL大賞7 男主人公 和風 戦国 バトル 侍 刀 最終更新日:2021/04/06 22:44 読了時間:約17分(8,132文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:ケケロ脱走兵/作品情報/Nコード:N0222EQ
完結済 (全40エピソード) |
寛(ひろし)はグローバリゼーションがもたらす成長の限界を迎えた世界を「世界限界論」と呼び、環境、エネルギー、人口、食糧などが限界に達し、世界そのものが限界に直面して近代文明は終焉を迎えると予測した。限界に達した波は逆流して成長を遮り世界は混沌とするだろう。そうした「世界限界論」の下で生き延びるには逆流に身を任せてしかない。逆流に身を任せるとは・・・。
ジャンル:純文学〔文芸〕キーワード: 日常 世界限界論 生命体と資本主義 社会を捉えなおす ポストモダン 片輪 就農 最終更新日:2018/03/12 23:37 読了時間:約167分(83,444文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 10 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 1 人 評価ポイント: 10 pt |
作者:渡辺八畳@祝儀敷/作品情報/Nコード:N1698DE
短編 |
永遠なる0.5秒
1秒にも満たない片輪な時に少女は幽閉される
文学極道にて2016年3月次点佳作
http://bungoku.jp/ebbs/log.cgi?file=462;uniqid=20160303_061_8667p#20160303_061_8667p
ジャンル:詩〔その他〕キーワード: 残酷な描写あり 詩 萌え ロリ 斬首 文学極道 最終更新日:2016/03/05 00:20 読了時間:約2分(649文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 4 pt ブックマーク: 1件 評価人数: 1 人 評価ポイント: 2 pt |
作者:みづはし/作品情報/Nコード:N0059CU
短編 |
王宮で医者として登用されたダリオは、死んだはずの王子の治療することとなった。
その王子は幼い頃から知能に異常があった。
王族の血統に片輪者が生まれる事を認めたくなかった王は、その事を秘匿し、
王子が夭逝したことにしたのだ。
しかし、長男に続いて、長女、次男にも障害があった事を知った王は、それまで見捨てていたフェルディナンド王子を何とか治療させようと、脳外科の専門医であったダリオに治療を依頼していたのであった。
ジャンル:ノンジャンル〔ノンジャンル〕キーワード: 最終更新日:2015/07/19 20:21 読了時間:約27分(13,317文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 16 pt ブックマーク: 2件 評価人数: 2 人 評価ポイント: 12 pt |
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