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作者:遠山風車/作品情報/Nコード:N9292FA
連載中 (全14エピソード) |
他人の不幸は蜜の味。それがこの物語の主人公――美川京の信条であった。
明確に悟ったのは、兄が挫折したときだった。誰もが沈黙し、食事に手をつけない重苦しい空気に包まれた晩餐。空気に耐えかねた両親と兄の会話が口論に発展し、最後には部屋に逃げる兄とそれを追いかける両親。一人残されたテーブルの上で食したステーキは、まさに――極上の蜜の味であった。
それこそが、流されることしか知らなかった美川京という人間の本当の始まりだったことは彼自身しか知らない。
兄の挫折から2年後、京は日常を楽しんでいた。日々苛立たしいことは多くある。しかし、世の中そう捨てたものではない。そこら中に不幸は転がっているのだから。わざわざ突き落とさなくても、勝手に転げ落ちていくものばかりだ。あとはそれを見て楽しむだけでいい。地球にやさしい、とてもエコな趣味である。最近は暴徒化事件などという愉快な事件による被害者も多く出ており、不幸に事欠かない。
まこと、良き世の中になったものだなぁと京は世界をあざ笑う。
しかし、彼は気づいてはいない。
対岸の火事と見て笑っていることの危険さに。
今まさに、自分の足元に火種が転がっていることに。
そう――神はすべてを見ているのだ。
ジャンル:ローファンタジー〔ファンタジー〕キーワード: R15 残酷な描写あり 冒険 ヤンデレ コメディ 現代 ダーク ダンジョン/迷宮 グルメ 男主人公 人外 吸血鬼 獣人 妹 後輩 特殊部隊/組織 不幸 最終更新日:2018/12/11 21:39 読了時間:約156分(77,707文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 72 pt ブックマーク: 14件 評価人数: 5 人 評価ポイント: 44 pt |
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