時は15世紀末。 ヨーロッパを支配下に置いた神聖ローマ帝国と、後に『日の沈まない国』と讃えられるスペインの前身となる大国との間で、婚姻が結ばれた。 ハプスブルク家のブルゴーニュ公フィリップ。 カスティーリャ＝アラゴン連合王国の王女フアナ。 美公と名高いフィリップと、エキゾチックな美女フアナは、政略結婚でありながら出会ってすぐに恋に落ちた。 仲睦まじい夫婦となった二人だったが、夫フィリップの激しい浮気癖により、幸せな結婚生活は崩れていく。 かつて大人しくも教養豊かな少女だったフアナは、夫の愛を乞い、壊れ、やがて狂女と呼ばれるようになる。 そしてある日、不幸な知らせが身重のフアナの耳に入るーー。 狂女と称された、激しくも気高き女王・フアナの恋愛譚。 彼女の内に秘めたる想いとはーー。