人気配信者・彩音は、スパチャで承認を売り、孤独を金に変える日々を送っていた。 だがある夜、一人のファン・タカシの名前を呼ばなかったことで、氷にひびが入る。 積み重なった欲望と孤独の果てに、カフェで事件が起きる。 SNSは騒ぎ、ニュースは事実だけを並べ、人々は次の話題へ移っていく。 残されたのは、一通の手紙に書かれた「救われました」という言葉と、 胸の奥に差し込む、小さな光だけだった。 承認欲求と孤独が交錯する現代を描いた、 静かで残酷な純文学短編。

都内の喫茶店に集められるのは、一人の青年・斎藤について語る人々。 ゼミ仲間、バイト先の同僚、近隣の住人、かつての友人、そして家族──一五人の証言は、静かなカップの中で波紋のように広がっていく。 それぞれが見た斎藤は違っていて、誰の言葉も「本当の彼」を示してはいない。 語れば語るほど像は歪み、輪郭を失っていく。 ──人は、他者を理解できるのか。 ──死者を語る言葉に、どれほどの真実があるのか。 一五篇の証言で編まれる小説『喫茶店の中、珈琲の香り』。 最後に残るのは、斎藤という青年の姿か、それとも語り手たち自身の影か。

三十一歳の配信者・広末直哉（愛称ヒロちゃん）は、三重の実家で母や冷笑的な父、兄家族と暮らしながら日々配信を続けている。ホラーが苦手で方向音痴、特徴的な笑い声を持つ彼が、ある午後の配信を通して自分の居場所と存在意義を静かに見つめ直す物語。

26歳の塩崎悠愛は、結婚を考えていた彼氏との別れを機にかつての趣味だった小説執筆を再開した。Xを見て文学フリマの存在を知り、悠愛は初めて文学フリマに出店することになる。

＞＞＞＞『かにかま』は『檸檬』になれるのか？＜＜＜＜ ただ、檸檬を置くだけの話。──でもそれは文学になった。 じゃあ、バナナだったら？　かにかまだったら？ そんな"ふざけた問い"が、現代の文学をあぶり出す。 笑って、ちょっと考える。ユーモアと批評の交差点へようこそ。 あなたも、この機会に、ほんの少しだけ―― 文学というものについて、思いを巡らせてみてはどうですか。

無口な店主が営む古びた喫茶店は、常連客がわずかで閉店の危機に瀕していた。ある日、就活中の若い女性が訪れ、ブレンドコーヒーを注文。すると突如ら彼女がお店を写真に収めたいと頼み、最初は苛立つ店主だが……。

現代文学に多大な影響を与えたチェコのユダヤ系ドイツ作家のフランツ・カフカ（1883～1924年）。私自身はカフカのよい読み手ではないですが、ひょんなことから学生時代以来、カフカの原文に触れる機会があり、浅学をかえりみず、好きなカフカ作品の感想めいたものや、カフカを巡るあれやこれやについて、回数を決めず、不定期連載で、飽きるか、ネタが尽きるまで、ダラダラと書いていこうと思います。徒手空拳、行き当たりばったりですが、カフカならきっと許してくれるでしょう。 ※noteと重複投稿しています。

彼女は毎晩、静かな部屋で本を読む。 そのそばには、名もなき蝋燭が灯っている。 見えない存在として、彼女を照らし続ける蝋燭の独白。 読まれる物語と、燃え尽きる光。 これは、誰にも気づかれない愛のかたち。

ネット流通大手「ナイル」の進出で、全国の書店が存亡の危機に立たされる。 古書店主・羽田は、打つ手のない現実に抗うため、**文学的な“反抗”**を提案する。

本が好きだ。書くのも好きだ。でも読まれるのは、ワイバーンに乗った母さんの話ばかり――。 テンプレばかりが評価されるWeb小説界で、自分の書きたい物語とのギャップに苦しむ“僕”。 あとがき、Web小説の神様、ドストエフスキー、太宰治……現れる奇妙な存在たちが、僕に問いかける。 「君は、なぜ小説を書くんだい？」 読む者すべてに刺さるとは限らない。それでも、自分だけの“文学”を探すショートショート。

その記憶は、まだ私の中で羽ばたいている。 天井の穴、桃色の鳥、記憶の中の「彼」。 これは、夢か現実か。夢から覚めても確かにそこにいる——。 幻想と記憶をめぐる、自己救済の物語。 5/15 一部文章の抜けがありましたので加筆しました。

石川菜緒は中学の同級生である宮下紗良のことを人として好きだったし尊敬していた。しかし紗良はSNSをしていないので、中学卒業後に連絡が取れなくなってしまう。菜緒に高校で知り合った中村こずえという紗良と似た友達ができたけれど……ーー。

村川小春は内向的な子どもだった。幼稚園で数少ない友達の加藤早希とは小学校入学を機に離れてしまい、大好きだったピアノの先生のお別れも経験する。それから小春は新しいピアノの先生と出会い、早希の近況も知ることとなった。

松下友美、清家咲空、香坂沙織の3人は高校で「3人娘」と言われるほど仲良しだった。友美の祖父母が亡くなった時も、咲空が会社の先輩からセクハラLINEを送られた時もお互いに支え合っていた。そんな3人娘の絆を松下友美の視点から描いた物語。

平沢叶絵は離婚後、大阪に戻りフリースクールで看護師として働き始める。辰巳啓徳は公務員として働き続けた。鈴田乃亜の元には友人から助けを求める電話がかかってくるーー。『彼の場合は』の続編物語。

未来は、ある日千愛と同じ委員会になったことから二人は会話をするようになる。誰にでも気兼ねなく話す未来と、そんな未来を別の世界の人だと思っている千愛。しかし、文武両道でみんなに慕われる未来には、隠している秘密があり？二人で「死」への旅へと向かう。死への旅を共にした未来と千愛の約束は、果たされるのか。

　自称人間嫌いのAさんに、人間嫌いとは何なのか話を聞いてみました。 　凄く深い話が聞けました。

この作品は古典『源氏物語』の現代語訳ではありません。 むしろ徹底した古典『源氏』離れに特徴があります。 実際の平安王朝時代に光源氏が実在していたら……そんな設定のもとに書かれています。 そういう意味では現代文学の歴史小説です。 登場人物設定も、古典『源氏』とは大きく違います。 しかも登場人物の大部分は歴史上の実在の人物だったりします（実名は伏せてあります）。 また平安時代の「恋愛小説」でもありません。あくまで平安時代の「政治小説」です。 　　　※　　　※　　　※ 帝の皇子でありながら源の姓を賜って皇族から出され、一世の源氏となった彼は世に光源氏の通称で通っていた。 その父が雷に打たれたと聞いて宮中に駆けつけた時は父帝は瀕死の状態で、そこで自分を皇族から外した父帝の御真意を源氏は聞く。 それでも彼は、それから平安朝のどろどろととした権力争いの世界に巻き込まれていくのは避けられなかった。 この作品は「カクヨム」にも掲載しています。

　ようこそ、いらっしゃいませ。 　本日はお越し頂き誠にありがとうございます。始(はじまり)古書店「ST−ART」 　始古書店「ST−ART」へのご来店は初めてでしょうか？　 　言うまでもなく、当店は古書店です。しかし、単なる古書店ではございません。当店はあらゆる「始まり」を売っている古書店なのです。

福田恆存について。近代から現代文学への移行。政治と文学。