現代で製薬会社の研究員をしていた宮野華（みやの・はな）は、事故で命を落とし、異世界の王都に生まれ変わる。だが転生先は没落貴族の薬師令嬢──華の家は宮廷で重用される一方、裏では毒殺や偽薬が横行し、名声は地に落ちていた。 現代の薬学知識を持つ華は、町の小さな薬局を再建し、微妙な症状や不審な薬の調合から「偽薬の流通ルート」「王家の病」といった事件の断片を論理的に解き明かしていく。やがて、その先に待つのは国を揺るがす陰謀――。 薬で人を治すことを信条とする華が選ぶのは、復讐でも権力でもなく「真実の処方」。宮廷での微妙な信頼関係、個性的な薬局仲間たち（元盗賊の薬草採集者、薬効を歌う吟遊詩人など）が彩る、異世界薬学ミステリ。

かつては陸の孤島として知られた塔の街、リフェッカ。この地域には数種類しか植物が生えていない。植物学者のエイは資料に困り旅人から情報を得ていたが、自分で確かめたくなり、旅に出ることを決めた。 少しして、エイしか友人がいない言語学者のロハティーハルナルことロティーは、エイを送り出したあと、やっぱりりぼっちは嫌だと彼を追いかけた。 そうして二人の学者のウザすぎる旅が始まる。