「これで……終わりだぁぁぁっっ！！！！」 　異世界の魔王にとどめを刺す。 　何度となく経験した達成感。 　同時に世界から弾き出される感覚。 　日本という平和な国に戻ってこれたという安堵感と、虚無感──。 　彼には悩みがあった。 それは異世界への召喚、強制転移の発生である。 　ごく普通の大学生……とは言い難い彼は、6才の頃から異世界に呼ばれ続ける召喚体質の持ち主であった。 　各異世界にルールはあれど、チートはない、長期滞在も認められない、召喚は拒否できない。 　異世界転移の常連であるが故に、様々な異世界経験だけは溜まっていくが、彼自身は一介の大学生に過ぎず、しかも召喚による"失踪"で、学生としての質は落ちる一方。 　ただ日本での日々を穏やかに過ごしたいと願う彼。 だが、今日も召喚の光は、その願いを砕き、彼を異世界へと誘う。 　これは異世界転移の常連である主人公が、異世界からの雑な召喚に応えつつ、異世界召喚されなくなるまでの物語である──。

『ドラゴン狩りからボール遊びまで、何でも御座れ　……だから僕らに居場所を下さい！』 ×××　透明アオトは、世界で五本の指に入ると謳われる強者――武士（モノノフ）だ。異世界に巣くう魔物を秒殺し、別次元に住まう高位存在すら屠る力を保有している。人々は、彼を戦神の再来と呼び称え……はい、嘘です。犬の浅知恵――プロパガンダを信じてはいけないよ。 　透明アオト――俺は、しがない日雇い兵器だ。しかも、クライアントは犬族ときた。いつか成り上がって、人間に戻ってやんよ！　当面の目標は、醤油かけご飯――ネコマンマからの脱却だぜ。 　　～緊急ミッション発令～　【異世界フィニスの争乱を平定せよ】　報酬は……時給８００円だと！？　労働基準法（犬版）をトリプルオーバーしてやがる。ワン・ワンダフォー。さぁ、始めよう俺達の異世界征服を