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作者:辻堂安古市/作品情報/Nコード:N8889KH
短編 |
鳥栖駅の東にある文化施設「サンメッセ鳥栖」。その1階ホールに、1台の古いドイツ製グラウンドピアノがある。
平成元年、そのピアノは製造されてから60年近くが経ち、体育館の片隅で埃を被り、ボールで傷を負い、足の代わりに学習机でその体を支えられていた。音も出ず誰からも見向きもされなくなっていたピアノは廃棄される予定だったのだが、そのことを聞いた1人の女性教員が、秘められていた戦時中の話を明かし、ピアノと再会したことにより、運命が変わることとなった。
1945年、敗戦が色濃くなってきた夏に、佐賀県三養基郡鳥栖町(現鳥栖市)の鳥栖町国民学校に二人の青年が現れる。
二人は小学校の女性教員に「出撃前に本物のピアノを弾かせてほしい」と頼む。二人は遥々10km以上の道のりを線路伝いに走って来たという。
二人の願いは聞き届けられ、奏でられたその曲は─────ピアノソナタ第14番嬰ハ短調 作品27-2「月光」。まるで自分たち自身へ向けた葬送曲のように、その音色は響き渡るのだった。
ジャンル:歴史〔文芸〕キーワード: ネトコン13 春チャレンジ2025 シリアス 近代 史実 鳥栖 目達原 フッペル ピアノ 特攻隊 平和 戦争 最終更新日:2025/04/06 18:08 読了時間:約9分(4,017文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 挿絵あり 総合ポイント: 144 pt ブックマーク: 2件 評価人数: 14 人 評価ポイント: 140 pt |
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